2025年2月14日 8歳児の3分の2が抗体有す 山梨大研究チームがスギ花粉アレルギー調査

山梨県内に在住する8歳児の3分の2に相当する68.6%がスギ花粉アレルギー抗体を有していることが、山梨大学エコチル調査甲信ユニットセンター研究チームによる調査でわかった。花粉症にかかっている人はアレルギー抗体を有している。また、ダニアレルギー抗体を持つ割合も過半数の53.4%に達していることが判明した。さらに同じ集団を対象に2023年5月~12月に「アレルギー性鼻炎の症状」に関するアンケート調査を実施し、アレルギー性鼻炎の重症度と日常生活への影響を解析した結果、花粉症と診断されている子どもの78.4%は中等度以上の症状を示し、60%以上は勉強、野外活動、睡眠に影響していることが判明した。研究グループは、山梨県の一般小学生のアレルギー性鼻炎の実情が初めて明らかになり、特に花粉症は子どもの日常生活に悪影響を及ぼしていることから、早期予防や治療の重要性があらためて示されたとしている。

アレルギー性鼻炎の有病率は世界中で増加しており、わが国でも特にスギ花粉症感染症が年々増加し、国民病となって久しい。今回の調査を行ったのは、三宅邦夫同大附属病院准教授ら研究チーム。2019年7月から22年11月に同大で実施した「エコチル調査8歳学童期総合健診」に参加した8歳児約1500人を対象に調査した。

調査の結果、ダニアレルギー抗体を持つ割合は全体で53.4%、男児で60.6%、女児で46.5%。通年性AR(アレルギー性鼻炎)と医師に診断されている子どもは全体で22.6%、男児27.0%、女児18.5%となった。

スギ花粉アレルギー抗体を持つ割合は全体で68.6%で、男児73.1%、女児64.1%。この割合は、エコチル調査の全体調査で、母親が妊娠中に採取した血液検体で測定した甲信地域の成人女性の陽性率(67.0%)と同程度となる。花粉症と医師に診断されている子どもは全体で62.8%にのぼり、男児66.2%、女児59.5%。ダニ、スギ花粉ともに、男児の感作陽性者の割合が女児より高いことがわかった。

また、花粉症の子どもの鼻炎重症度は、無症状(2.3%)、軽度(15.8%)、中等度(31.3%)、重度(30.6%)、非常に重度(16.5%)に分類され、中等度以上が8割近くを占めていることが明らかになった。

さらに、勉強、野外活動、睡眠への影響としては、「影響なし」がそれぞれ36.9%、38.5%、36.0%で、「やや影響あり」が53.0%、48.2%、51.7%、「かなり影響あり」が10.1%、13.3%、12.3%。花粉症の子どものうち、6割以上の子どもの日常生活に、症状が「影響している」実態が浮き彫りになった。

AR(アレルギー性鼻炎)の子どもは、日常生活への影響がみられることから、早期予防とともに適切な治療が不可欠。例えばARの治療として近年注目されている舌下免疫療法は、投与が簡便で、開始年齢が5歳に引き下げられたことから、子どものARの症状や日常生活の質(QOL)の改善が期待されている。

花粉やダニなどを体内になるべく取り込まないようにする予防グッズなども種類が豊富になっており、子どもに合った対策や治療を検討することが重要。研究グループでは、研究については、今後さらに追加調査で収集した子どもの便検体から腸内細菌を測定し、AR症状との関連について解析する予定。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)


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