内閣府がまとめた8月の月例経済報告によると、企業収益について、感染症の影響により、大幅な減少が続いていることなどから「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる」と基調判断を据え置いた。先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要があるとしている。また、金融資本市場の変動に十分留意する必要があるとした。
日本経済の動向についてみると、個人消費では、需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、6月は前月比9.4%増となった。個別の指標について最近の動きをみると、「家計調査」(6月)では、実質消費支出は13.0%増となっている。販売側の統計については、「商業動態統計」(6月)では、小売業販売額は13.1%増となった。
設備投資については、弱含んでいる。需要側統計である「法人企業統計季報」(1~3月期調査、含むソフトウェア)でみると、2020年1~3月期は前期比3.6%増となった。業種別では、製造業は1.7%増、非製造業は4.6%増となっている。
機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、弱い動きとなっている。ソフトウェア投資は、おおむね横ばいとなっている。
輸出については、持ち直しの動きがみられ、地域別にみると、アジア及びアメリカ向けの輸出は、持ち直しの動きがみられる。EU向けの輸出は下げ止まっており、その他地域向けの輸出は、下げ止まりつつある。感染症によるインバウンドへの影響について、7月の訪日外客数は99.9%減となった。
輸入は、このところ下げ止まっており、地域別にみると、アジアからの輸入はおおむね横ばい、アメリカ及びEUからの輸入は弱含んでいる。
鉱工業生産は、一部に持ち直しの動きがみられる。鉱工業生産指数は、6月は前月比1.9%増となり、鉱工業在庫指数は、6月は2.4%減となった。製造工業生産予測調査によると、7月は11.3%増、8月は3.4%増になることが見込まれる。
企業収益は、感染症の影響により、大幅な減少が続いている。上場企業の2020年4~6月期の決算をみると、経常利益は製造業、非製造業ともに前年比で減少した。「日銀短観」(6月調査)によると、2020年度の売上高については、上期は前年比29.6%減、下期は7.7%減が見込まれている。
企業の業況判断は、厳しさは残るものの、改善の動きがみられる。
倒産件数は、7月は789件と増加し、負債総額は1008億円となった。
雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっている。完全失業率は、6月は前月比0.1%ポイント低下し、2.8%となった。労働力人口と就業者数は増加し、完全失業者数は減少した。