民間企業が今年7月から9月に留学した大学生を対象に行ったアンケートで、8割以上が留学により語学力が伸びたと回答していることが明らかとなった。また、留学先では語学力を伸ばすために、日本語を使わない環境に自ら置き、積極的に英語を話すなど、多くの学生が有意義な留学生活を送っていた。文科省が官民協働による「トビタテ留学JAPAN」を展開するなど、官民をあげて大学生の留学を促進しているが、あらためて大学時代に海外生活を体験することの意義が示された。
このアンケートを行ったのは、雑誌・留学ジャーナル発行元の(株)留学ジャーナル。夏休みに留学する大学生がどういったことを経験し、結果的にどのような成果を得たかを探ることを目的に、9月26日から10月16日にかけて実施した。①語学力、②留学前に準備しておけばよかったこと、③留学前と後の自身の変化、④大学時代に留学する意義―の4項目について聞いた。
1.語学力について
□全体の84%が留学で語学力が伸びたと回答。特にスピーキングとライティングスキルが向上 「留学で、語学力は伸びたか」との問いに対しては、全体の84%が肯定的な回答をした。また、「伸びた」と回答した学生に、具体的にどのスキルが伸びたかを期間別で聞いたところ、1~2週間の留学生、3~4週間の留学生双方ともスピーキングとリスニングが8割以上と上位を占めた。3~4週間の留学生は語彙・文法も向上したと回答していることから、留学期間が長いほど、語彙・文法力の伸びを実感する割合が多いという結果となった。
□半数以上が語学力を伸ばすために留学先で「積極的に話しかけた」と回答 語学力を伸ばすために留学先で気を付けたことについて尋ねたところ、「積極的に英語で話しかける」が最も多く64%。次いで、「ネイティブスピーカーや他国からの留学生との接点を増やす」が53%、「なるべく日本語を話さない」(52%)が上位を占めた。
また、「わからないままにしない」(27%)、「なるべく日本人と過ごさない」(17%)、「現地でクラブ、サークル活動に参加する」(16%)との回答もみられた。
留学期間が限られているということもあり、日本語を使わない環境に自らを置き、英語を使って外国人とコミュニケーションをとる留学生の姿勢が表われた。
2.留学前に準備しておけばよかったことは
□留学に関する準備不足を痛感した留学生が7割以上に 留学前にしておけばよかったと思うことについて聞いたところ、1位が「日常会話を練習しておく」(73%)、2位が「身の回りの単語を覚えておく」(64%)となり、いずれも語学力に関する準備不足をあげた回答が上位に挙がった。
また、「日本の文化・歴史についての知識習得」(36%)、「留学先の観光地やイベントなどの情報収集」(31%)、「留学先のマナーや文化・歴史に関する知識習得」(14%)といった語学に関する準備も行っていけばよかったという留学生もみられた。
3.留学前と後での自身の変化
□性格や考え方の変化については、「視野が広くなった」「積極的になった」が上位に
留学前と後で、自身の生活や考え方に変化したか質問したところ、全体では「積極的になった」「物事を見る視野が広くなった」の割合が高くなった。また、留学期間別に比較すると、3~4週間の留学生は「主体性がでてきた」「意見をしっかり発言するようになった」と回答した割合が、1~2週間の留学生より倍以上高く、自らの意思を示しながら、能動的に行動できるようになった留学生の頼もしい成長がうかがえた。
4.大学生の時期に留学する意義について
□回答者全員が「大学生の今、留学して良かった」と回答 「大学生の今、留学をして良かったですか?」との問いに対し、留学期間を問わず、回答者全員が「よかった」と回答した。また理由を聞いたところ、「学生のうちに視野を広くできて将来について考えることができた」「将来に対して、日本に居ては考えることができなかった選択肢や考え方を得ることができた」「長い休みを取れるのは大学生の醍醐味であるし、就職活動の前に英語のできなさを実感できた」などをあげた。