日本財団が17歳から19歳までの〝若者〟を対象に行った調査で、ハイティーンの6割超が、自身が高齢者になった時の経済状況を不安視していることが明らかとなった。老後の資金源のトップは「預金」で、年金制度に関しては、約7割が「維持が難しくなっている」「破綻している」と予想。少子高齢化などを背景に、社会保障制度のあり方に大きな不安を持っている若者の姿が浮き彫りとなった。
さらに、調査では、自身が高齢になった時の生活についても、男女とも約6割が「年金だけでは生活費の半分の賄えない」と厳しく予測しており、現在の公的年金制度については「改革が必要」と答えている。
同時に、男性の約6割、女性の約7割は社会保障制度をめぐる政治や国会の議論に「世界世代の意見が反映されていない」と指摘。一方で、男女とも約半数は自身の政治参加について、「政策に影響を与える可能性はない」とするなど、若者の無力感をうかがわせる調査結果も出ているという。
高齢時の医療費、6割が「増える」
日本財団では、17歳から19歳までを対象とした調査を〝18歳意識調査〟と銘打って行っている。58回目となる今回のテーマは「社会保障」。
1000名を対象にインターネットを使って行った調査によると、自身が65歳以上の高齢者になったときの経済状況に対して、「不安がない」と答えたのはわずか10.4%。63.4%は「不安がある」と回答し、「その他・わからない」は26.2%だった。
不安である理由を聞いたところ、全体の45.7%が、「年金制度の維持」をあげた。また、「自分が高齢者になる頃には、生活保護制度は維持が難しくなっていると思うから」とした若者も25.6%いた。
高齢者になったときの年金制度の状況としては、「維持が困難・維持できず破綻」していると74.5%が回答し、「その他・わからない」は16.9%。「問題なく存続している」は8.6%と1割未満という結果となった。
アンケートでは、支払う年金保険料に対する受け取る年金額に関する考え方も聞いた。「支払い額より多くなる」と、「支払い額と同等」はいずれも16%程度で、約7割の67.3%が「支払い額より少なくなる」と回答。若者の多くは、年金にさほど期待していないことがわかった。
また、自身が高齢者になったとき、医療費の窓口負担割合が現在と比べて「増えている」と回答した人は、男女とも約6割にのぼる。各世代の医療費の窓口負担率について今後の方針に対する考えを聞いたところ、70歳以上については「上げるべき」と回答した人が男女とも約3割を占め、他世代を「上げるべき」と回答した人の割合の2倍近くになった。
政治・国会への若い世代の意見がどのくらい反映しているかという質問に対しては、「反映されていると思う」は8.4%と、10%を切った。「反映されていると思わない」は66.6%で、「わからない・回答しない」は25.0%。
日本財団の『18歳調査』は、民法の改正に伴い昨年4月には成人年齢が18歳となり、時代を担う18歳の意識を知り、また記録することの重要性が高まっていることから行っているもの。2018年10月から行っており、格差社会や地方創生、憲法などその時々で注目されているトピックを踏まえた意識調査を実施している。