総務省は、周波数の再編を透明性及び予見可能性を確保しつつ円滑かつ着実に実施するため、平成16年度から「周波数再編アクションプラン」を策定し、毎年度改定・公表している。12月13日に周波数再編アクションプラン(令和6年度版)を策定した。
2024年末までの周波数の帯域確保目標について、「デジタルビジネス拡大に向けた電波政策懇談会報告書(令和6年8月)」によると、2040年の無線トラヒックについて、地域類型別等に携帯電話網・NTN・Wi‐Fiで収容するとした場合、合計で約70GHz幅(73.1GHz幅)が必要になると試算されており、2023年末時点で約26.5GHz幅を確保していることから、2040年末までに+約47GHz幅の帯域確保を目指すこととされた。
令和6年度版では、重点的取組として、①5Gの普及に向けた周波数確保、②無線LANの更なる高度化と周波数拡張等、③ドローンによる上空での周波数利用、④V2Xの検討推進、⑤非地上系ネットワーク(NTN)の高度利用、⑥公共業務用周波数の有効利用、⑦Beyond 5Gの推進―を掲げている。
このうち、5Gの普及に向けた周波数確保では、26GHz帯及び40GHz帯について令和7年度末を目途に条件付オークションを実施し、既存システムの移行方策や周波数共用検討の状況を適宜反映しながら令和7年春頃を目途に技術的条件を取りまとめ、同年秋頃を目途に技術基準を策定する。
無線LANの更なる高度化と周波数拡張等では、6GHz帯無線LANの屋外利用及び6.5GHz帯無線LANの屋外利用を含む帯域拡張に向けた技術的条件の検討を進める。その際、既存の無線局に対する干渉回避に必要なAFCシステムの運用方法等について必要な検討を進めたうえで、令和7年度中を目途に技術的条件をとりまとめる。
ドローンによる上空での周波数利用では、ドローン等による4G・5G・ローカル5G・BWAの上空利用について、令和6年7月から技術的条件の検討を開始し、早期に結論が得られたものは同年内の取りまとめを目指す。またGHz帯無線LANの上空利用の拡大について検討を進め、令和6年度中を目途に制度整備を行う。
Ⅴ2Ⅹの検討推進では、令和5年8月の「自動運転時代の〝次世代のITS通信〟研究会」中間取りまとめを踏まえ、令和8年度中を目途にV2Xへの5.9GHz帯の割当てに向けて、既存システムの移行方策等の検討や周波数共用検討を進める。
非地上系ネットワーク(NTN)の高度利用では、HAPSや新たな非静止衛星コンステレーションといったNTNの実現に向け、研究開発や技術試験、技術的条件の検討を実施する。
公共業務用周波数の有効利用では、「他用途での需要が顕在化しているシステム」及び「アナログ方式を用いるシステム」として特定された国の公共業務用無線局について、引き続き利用状況を調査する。
Beyond 5Gの推進では、総務省が令和6年8月に公表した「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略‐Beyond 5G推進戦略2.0‐」に基づき、社会実装等に向けた取組を加速する。