2019年11月27日 4割以上が「汚い、暗い、臭い、怖い」 民間企業が学校トイレで小中学生アンケート

学校のトイレは汚い、暗い、臭い、怖い―。現在の小中学校生の4割以上が、学校のトイレについて、このようなネガティブなイメージを持っていることが、民間企業の調査で明らかとなった。また、性別違和を抱える子どもたちへの配慮として注目されている男女共同トイレに関しては、半数以上があまり肯定的に捉えていないことがわかった。

公立小中学校の老朽化が深刻な社会問題となり、国は〝耐震〟を最優先に学校施設の長寿命化改修が進められているが、建物の耐震化がおおむね完了した現在、学校トイレの改修が重要なテーマの一つとなっている。こうした状況を踏まえて、トイレ等の製造販売を行っている(株)リクシルが、学校トイレに関する現状を把握し、より快適な学校のトイレ空間づくりを目指すために、2009年、2013年に続いて調査を実施した。

現役小中学生に学校トイレの印象についてアンケートしたところ、「汚い」「暗い」「臭い」「怖い」がそれぞれ44%、41%、53%、47%といずれも4割を超える結果となった。家庭や公共施設では、きれいかつ快適なトイレが当たり前になりつつあるなかで、学校トイレの整備はまだまだ進んでいない現状が浮き彫りとなった。

「洋式」「和式」といったトイレの形式についても聞いた。73%が「洋式」と回答し、6年前の調査よりも7ポイント高かった。世の中のトイレの様式化が進むなか、「和式トイレの使い方が分からない」という子どもも9%存在しており、こうした傾向は今後さらに増えていくことが予想される。

 

湿式清掃、6年間で1割増加

また、学校トイレでは、水を流して清掃する「湿式清掃」が一般的だが、床に水が残ると、雑菌が繁殖しやすく、雑菌の繁殖を抑えるためには床の乾式化が効果的。学校トイレの清掃方法に関してもアンケートした結果、乾式清掃を行っているのは全体の25%で、湿式清掃は55%。20%は「わからない」と回答した。6年前の2013年は乾式清掃の割合は16%で、湿式は61%であったことから、実際にこの6年間で乾式清掃の割合が約1割増えたことになる。

調査結果に加えて、リクシルでは、水栓のハンドルから菌が広がる恐れもあることを警告している。手洗い週間は、衛生面で重要だが、水栓ハンドルが接触感染の要因になってしまうこともあるという。リクシルが実証実験を行ったところ、細菌の付着した水栓ハンドルに触ることで、20人中20人に菌が付着。リクシルでは、こうした接触感染を防ぐためには、手で触れる必要のない「自動水栓」を推薦している。

 

男女共同トイレ、半数以上が「気になる」

共生社会実現に向けた取組が進められるなか、学校トイレの整備でも多様な児童生徒への配慮が求められている。こうしたなかで、〝性別違和を抱える子どもたちへの配慮〟の選択肢の一つとして注目を集めているのが『男女共同トイレ』。男女共同トイレの導入には理解促進を図ることが第一歩で、児童生徒の抵抗感をなくすための工夫や設計プランも求められている。

調査では、この男女共同トイレを異性が使うことをどう思うか聞いた。「気にならない」が29%だったのに対し、「気になる」は約半数を占める結果となった。

気にならない理由としては「自宅のトイレは共用だから」(小学1年男子)、「お店も一緒だから」(中学3年女子)、「男女とも使えて便利」(小学5年男子)という声が聞かれた。一方で、気になる理由としては「家族じゃないから」(小学6年女子)、「男子と一緒は嫌だ」(小学3年女子)、「変態と思われるから」(小学2年男子)との意見が寄せられた。さらに、「(男子の)使い方が汚そうだから」(中学2年女子)、「出るとき異性だと恥ずかしい」(中学2年男子)ということも理由として挙がった。


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