2022年10月28日 30年度見据えた試験・評価の枠組み示す 化学物質の内分泌かく乱作用に関する新たなプログラム

環境省は、化学物質の内分泌かく乱作用に関する新たなプログラムとして、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応―EXTEND2022―」を取りまとめ、10月20日に公開した。このプログラムの方針に沿って、化学物質の内分泌かく乱作用に関する対応を進めていく。

環境省では、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応―EXTEND2016―」の策定から5年経過したことを受け、昨年度よりその振り返りを行った。その過程で、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会」(座長:井口泰泉横浜市立大学特任教授)及びその下部委員会からも意見を聴取した。

この振り返りを踏まえ、今般、EXTEND2016を受け継ぐ新たなプログラムを取りまとめた。

EXTED2016を含むこれまでのプログラムで得られた成果として、化学物質の内分泌かく乱作用に関する2段階の試験・評価の枠組みを構築。簡易な試験(第1段階試験官内試験)から長期の詳細な試験(第2段階生物試験)へと段階的に進める手順としている。この枠組みの下、第2段階生物試験により確認された有害な影響に着目してリスク評価を行うものとした。

この枠組みの下で使う試験法の開発を進め、日米共同でメダカ拡張1世代繁殖試験及び幼生期両生類成長発達試験をOECDテストガイドライン化した。

メダカやミジンコを使用するスクリーニング試験法については、現在OECDテストガイドラインプログラムにおいて日本主導で検討を進めている。

また、環境中で検出された化学物質等を中心とする200を超える化学物質を対象として、内分泌かく乱作用に関する試験・評価を進めた。

このうちノニルフェノール等6物質について、第2段階生物試験としてメダカ拡張1世代繁殖試験を実施。その結果は、化学物質新崎施法における有線評価化学物質のリスク評価や、化学物質の環境リスク初期評価において活用が始められている。

このほか、日英及び日米の二国間協力事業を通じて、試験・評価に関する共同研究、共同開発、情報交換等を進め、その成果を本プログラムにおける試験・評価に反映させた。

2030年度を見据えた新たなプログラムであるEXTEND2022は、これまで進めてきたEXTEND2016と同様に、①作用・影響の評価及び試験法の開発、②環境中濃度の実態把握及びばく露の評価、③リスク評価及びリスク管理、④知見収集、⑤国際協力及び情報発信の推進、により構成。

既に構築した2段階の試験・評価の枠組みを踏襲し、評価に関する基本的な考え方を維持しつつ、以下の新たな対応を行う。

▽試験・評価の対象物質として、農薬や、医薬品を含むPPPCPsも積極的に取り上げます。

▽当省のプログラムの中で確立された新しい試験法を用いた試験・評価に着手します。

▽欧米で研究が進む動物を用いない新たな評価手法(NAMs)の活用方策を検討します。

▽評価において複合影響評価の視点を考慮します。

▽リスク管理に係る制度化の評価体系における活用を念頭に置いた評価手法の提案を目指します。

▽英語による情報発信を重視します。


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