東京都監察医務院が公表した最新のデータによると、昨年の1年間に東京23区内で孤独死した65歳以上の高齢者は、3116人とこれまでで最も多くなっている。前年の2885人から231人増え、初めて3000人を上回った。高齢化の進行や1人暮らしの増加、地域のつながりの希薄化などが背景とみられ、今後さらに増えていく恐れがある。
このデータの孤独死は、誰にも看取られずに自宅で亡くなっているのを後で発見され、東京都監察医務院が検案を行ったケース。2015年は男性が1973人、女性が1143人、あわせて3116人だった。調査が始まった2003年(1441人)と比べると、2.16倍に膨らんでいる。
若い世代も含めた孤独死の総数は4690人。これを死後に経過した時間ごとにみると、1週間以内が68.6%を占めており、2週間以内までを含むと80.4%に達した。より長い事例もあり、15日から30日が10.4%、31日から90日が7.3%、91日から180日が1.4%、181日以上が0.4%となっている。
■ 孤独死の実態に詳しい 淑徳大学の結城教授の話
完全になくすことは難しいが、地域の関係者で見守りのネットワークを作っていけば深刻な事態を減らせる。本人、住民、民生委員、自治体の職員、高齢者と接する事業者などが信頼関係を築き、それぞれの役割・機能をうまく組み合わせて取り組むことが大事だろう。国による支援も欠かせない。「自助」や「互助」に任せきりにするのではなく、きちんと費用もかけてそれらを育んでいく視点が求められる。
重要なキーワードは「死の社会化」だ。もはや死は個人や家族の私的な事柄ではなく、公的な事柄として扱わなければならない時代になっていることを、皆が認識しておく必要がある。埋葬まで社会全体で対応するシステムも検討すべきではないだろうか。もちろん、誰かに看取られて最期を迎える人の方が圧倒的に多いだろうが、今後の人口構造の急激な変化などを勘案すると、「死の社会化」は避けて通れないと感じる。