2016年7月14日 2030年に向けた研究戦略 産総研が日本の活力と産業競争力増進へ策定

国立研究開発法人産業技術総合研究所においては、経済産業大臣が定めた中長期目標(2015年度~2019年度)に基づき中長期計画を定めているが、昨今の科学技術の進展および産業・社会の最新の動向を踏まえ、さらに長期的視点から、「産業技術総合研究所の2030年に向けた研究戦略」を策定した。

産総研としては、発足以来のスローガン「技術を社会に」に基づき、幅広い産業技術の総合研究機関として2030年を見据え、新たな技術シーズを創出し産業界へ「橋渡し」し続けるのに加え、誰もまだ実現していない新製品・新産業を、世界に先駆けて作り出すことによって、「新技術・新産業は産総研から生まれる」という理想像を追求していく。

加えて、産総研の研究成果が地域の中小・中堅企業やベンチャー企業によって最大限に活用され、日本の活力と産業競争力を増進させるような取り組みを行っていく予定。

新しい研究戦略は、これまで培ってきた技術シーズや研究開発ポテンシャルをもとに、1)情報・データの価値創出による超スマートな産業・社会、2)低炭素、資源循環を基軸とするサステナブルな産業・社会、3)物質・生命の本質を理解し制御・活用する産業・社会、4)科学技術を基盤とした安全・安心な産業・社会―の実現に向けた研究開発を推進し、科学技術イノベーションを主導するというもの。

具体的な研究目標として産総研は、第一に、膨大な情報・データから新たな知識や価値を導出する科学技術を創る。人とモノと情報を融合させることで、超スマートな産業・社会の実現を牽引する。

第二に、低炭素、資源循環を実現する科学技術を創る。わが国のみならず、世界が直面する課題を解決するため、化石燃料や希少資源に依存しない、無駄や廃棄物を徹底的に排除したサステナブルな産業・社会の創出を牽引する。

第三に、原子・分子レベルで物質や生命のメカニズムを解明し、それらを自在に制御・活用する科学技術を創る。これにより新産業の創出や健康・長寿社会の実現を牽引する。

第四に、産業と社会の安全・安心を確保する科学技術を創る。産業の進化や国土の有効利用を支え、災害に強い安全な社会の実現を牽引する。

産総研では、これら4つの目標を実現するべく、研究戦略に絶え間ない問題提起を行いながら、研究開発を深化・発展させていく。

特に、「次世代の新産業を創る」ことを念頭に、わが国における人口減少や高齢化、地球規模の温暖化や感染症問題、IoT時代の情報化社会におけるセキュリティ確保、安全・安心な産業・社会の実現等を目指し、新たな産業の創出にチャレンジする。

2030年に向けた今回の研究戦略は、内部の研究者を中心に議論してきた。産総研では、将来的に新技術や新製品・新サービスに対する価値観そのものが大きく変化する可能性を考慮し、日々の研究活動、大学や他研究機関との学術的な交流、産業界との連携・協力、社会との対話を通じて、この研究戦略が常に最新かつ最適なゴールを目指すように、常にブラッシュアップを続けていく。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.