2017年4月13日 18歳以上の運動実施率、減少局面に 笹川スポーツ財団が調査 上昇への施策に期待

東京オリンピック・パラリンピック開催まで、あと3年となり、アスリートの人間離れした技やパワーに注目が集まっているが、わが国18歳以上の運動・スポーツ実施率は、2012年をピークに減少傾向にあることが、公益財団法人笹川スポーツ財団(SSF、小野清子理事長)の調査で明らかとなった。年1回以上運動をした人の割合は、最も高かった2010年に75.9%であったものが、その後、年々ダウン傾向にあり、今回調査の2016年は72.4%と3.5ポイント減った。週1回、週2回以上運動をしている人の割合もピーク時の2012年に比べて、1.2ポイント、2.4ポイントダウンした。

この調査は、〝スポーツ・フォー・エブリワン〟を推進するSSFが、成人を対象として1992年から隔年で実施しているもので、今回から対象を18歳以上に変更した。

 

エクササイズ系種目が牽引

調査担当者のSSF研究調査グループの藤原直幸研究員によると、わが国の運動やスポーツの実施率は、散歩やウォーキング、体操といったエクササイズ系の種目に牽引される形で上昇。年1回以上の実施率は2010年に75.9%、週1回以上、週2回以上の実施率は2012年に59.1%と49.3%を記録し、それぞれピークを迎えた。

しかし、2014年には年1回が73.7%、週1回以上が56.0%、2回以上が45.1%となり、藤原研究員は、「わが国の運動・スポーツ実施率は減少局面に入った」と指摘している。

減少局面となった要因として、藤原研究員は、エクササイズ系種目の実施率ダウンを要因とひとつとして分析。定期的な実施率がピークであった2012年に「散歩・ウォーキング・体操」のいずれかを週1回行った人の割合は、男性34.3%、女性45.1%であったが、2016年には男性30.6%、女性42.5%と男女ともに低下した。

一方、2012年に「散歩・ウォーキング・体操」以外の種目を週1回実施した人の割合は、男性17.7%、女性10.2%であったが、2016年には男性19.7%、女性9.0%と、女性はわずかに減少したものの、全体では増えた。

さらに、ここ数年のマラソンブームに呼応して実施率が上昇してきたジョギングやランニングも2012年をピークに減少が始まっており、開催を控える大規模スポーツイベント等を契機とした運動・スポーツ実施率の上昇に向けた施策が期待される。

 

テレビ観戦は「プロ野球」がトップ 2位は高校野球、フィギュアは3位

また、調査では、過去1年にテレビで観戦したスポーツ種目についても聞いた。「プロ野球(NPB)」が53.8%で1位、「高校野球」が48.4%で2位、「フィギュアスケート」が46.2%で3位となった。性別では、男性は「プロ野球(NPB)」が64.9%、女性は「フィギュアスケート」が59.1%でそれぞれトップ。また、ほとんどの種目で女性より男性の方が高い観戦率を示したが、「フィギュアスケート」(男性33.2%。女性59.1%)、「バレーボール日本女子代表試合」(男性38.4%、女性47.1%)、「バレーボール日本代表試合」(男性30.9%、女性39.4%)は女性の値が顕著に高かった。

このほか、全体では、サッカー日本代表試合(五輪代表を含む)、マラソン・駅伝、大相撲、プロテニスが上位を占めた。

 

スポーツボランティア実施率も減少傾向

さらにSSFでは、スポーツボランティアの実施率に関しても調査。過去1年間に行ったことが「ある」と回答した者は全体の6.7%で、前回調査の2014年と比較して1.0ポイントダウンした。2010年に過去最高の8.4%であったことから、こちらも減少傾向にあるとみられる。


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