10年後にサービス運営の中核を担っていく人材の適任の候補はいるか?介護事業所・施設にそう尋ねたところ、全体の4分の1を超える27.0%が「いない」と答えたことが国の調査で分かった。
「いない」が最も多かったのは訪問介護。33.9%と全体の3分の1にのぼった。
今後の人材確保の見通しがたっていない介護事業所・施設が少なくない実態が、改めて浮き彫りになった格好。サービス類型ごとの結果は表の通りだ。
この調査は、厚生労働省が日本総研とともに今年1月から2月にかけて実施したもの。全国の特養、介護付きホーム、訪問介護、通所介護が対象で、801事業所・施設から回答を得ている。中核を担う人材とは、例えば管理者や施設長、主任、リーダーなどのポストを適切に担える人を指す。
目下の介護職員の不足感をみると、全体で「大いに不足」が19.9%、「不足」が29.2%、「やや不足」が31.1%。この3つで80%を超えていた。
目下の介護職員の採用状況は、
◯ 求める人材像・能力などにマッチする人材のみ採用したいが、応募が少なくマッチしない人材も採用している=38.0%
◯ 人材像・能力などを気にする余裕がなく、広く人材を採用している=14.7%
◯ 人材像・能力などを気にしなくても、そもそも採用ができていない=12.2%
‐などとなっており、この3つでおよそ65%を占めていた。
今回の調査ではこのほか、人材の定着について介護事業所・施設の取り組みや成果を詳しく分析。地域の特性やサービスの類型、法人の規模によって状況は異なるものの、職場環境の改善や職員の負担軽減が定着に寄与することなどが指摘されている。