国民1人あたりに一律で10万円を支給する特別定額給付金について、高市早苗総務相は8日の閣議後記者会見で、6日までのオンライン申請の件数が51万3491件だったことを明らかにした。
特別定額給付金は、4月20日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」に盛り込まれた仕組み。事業費は12兆8802億9300万円で、市区町村が実施主体となる。給付対象者は、先月27日時点で住民基本台帳に記録されている人。申請方法は、市区町村から送られた申請書に振込先口座を記入し、必要な書類とともに市区町村へ郵送する方法と、マイナンバーカードを持っている人がマイナポータルから電子申請を行う2つの種類がある。
総務省によると、全国1741市区町村のうち、16.8%にあたる292の自治体が8日までに申請書の郵送を開始し、このうち29カ所で給付が始まった。さらに、オンライン申請の受付は、64.1%にあたる1116の自治体でスタートしており、うち70ヵ所で給付され始めているという。
高市総務相は「1日でも早い給付の実現に向け、引き続きシステムベンダーや金融機関に対する協力の働きかけを行うとともに、市区町村が迅速かつ円滑に事務を遂行できるよう、その進捗状況を把握し、各団体の状況も踏まえつつ、全力で支援をしていきたい」と発言。合わせて、マイナンバーカードの申請が郵送やオンラインでも可能なことに言及し、「できるだけ郵送やオンラインでの申請をご利用いただくよう、お願いしたい」と述べている。
■ システムトラブルへは処理能力の向上で対応
なお、マイナンバーを使った給付金の申請では、パスワードの再設定やマイナンバーカードの電子証明書の発行・更新などに伴うシステムトラブルが発生している。
これを受け総務省は、J‐LIS(地方公共団体情報システム機構)が8日から10日にかけてサーバーの処理能力を現在対応できる最高値まで増強したと発表。市区町村に対し、暗証番号の再設定などの優先処理、有効期限が到来していない電子証明書の更新手続などについては預かり処理をすること、暗証番号再設定用端末の設置などについて、要請したとしている。
そのほか、総務省として、窓口の混雑を緩和するために平日夜間の開庁時間の延長や、土曜日・日曜日の開庁などを行うよう助言したという。
一方、特別定額給付金をめぐっては、郵送を始めた自治体名が発表されたことを受け、一部から自治体間の競争を煽らないよう抗議する声が上がっている。
これに対し高市総務相は12日の会見で、「市区町村間の競争を煽るという意図は、全く総務省にない」とし、「むしろ、『いつから申請書が送られるのか』、『いつからオンライン申請の受付が開始されるのか』といった問い合わせが市区町村に殺到したり、総務省のコールセンターに殺到したりということを避けるための公表だ」と説明。特に、「それぞれの市区町村によって申請の開始日が違うため、広く国民に知ってもらう必要がある」とした。