2018年10月9日 高齢者の定義「75歳以上」に 長野市と松本市が共同提言

長野市の加藤久雄市長と松本市の菅谷昭市長が、高齢者の定義を従来の「65歳以上」から「75歳以上」に引き上げるべきだという共同提言を発表した。市民の意識改革が狙い。65歳を超えて一線を退いても、地域づくりなどで活躍し続けてもらいたいという思いがある。年金や介護保険など社会保障制度で設定されている年齢の規定の見直しは求めていない。

65歳=高齢者。これは1956年に国際連合がまとめた報告書がもとになっていると言われている。提言ではこうした定義について、平均寿命が80歳を超えている今の日本にはふさわしくないと主張。来るべき「人生100年時代」を見据え、高齢者の就業率や平均寿命が全国トップレベルの長野県が先進モデルになるべきとした。

両市は今後、県内の他の市町村にも広く賛同を呼びかけていくという。65歳以上の就労促進などをはじめとする具体策にも注力する方針だ。

果たして何歳からが高齢者なのか? 既存の概念を再考しようという動きが少しずつ広がりつつある。

日本老年医学会は昨年1月、以前と比べて加齢による身体機能の衰えが遅くなっていると指摘するレポートを公表。高齢者の定義を75歳以上にすべきと促した。神奈川県大和市は今年4月、「70歳代を高齢者と言わない都市」を宣言。内閣府も今年の「高齢社会対策大綱」に、「65歳以上を一律に“高齢者”とみる一般的な傾向は、もはや現実的なものではなくなりつつある」との認識を盛り込んでいる。

 

■「社会の意識が変わっていけば」

9月21日に記者会見を行った松本市の菅谷市長は、「私自身、65歳以上を一律に高齢者と呼ぶことに違和感を持っている。長野市の加藤市長も同じ意見だったため、両市の若手職員が中心となって作業部会で検討を重ねてきた」と説明。「65歳以上の方に、今よりもっともっと明るく前向きになって頂けるように、社会の意識が変わっていけば」と期待感を示した。


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