医療保険の財政を圧迫するような高額の医薬品を使用することについて、医師の約半数が「制限すべきだ」と考えていることが13日、国内の医師約10万人以上が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」の調査でわかった。
現在、政府や財務省らは、画期的だが薬剤費がとても高い肺がん治療薬の「オプジーボ」について、原則2年に1度行われる薬価改定を待たずに、価格を大幅に引き下げるよう訴えている。このため、薬価を協議する厚生労働省の専門部会では、薬価を25%引き下がることが決まった。
調査は、インターネットを通じて9月5日から11日にかけて実施。サイトに登録している4199人の会員医師から有効な回答を得た。その結果、「高額な医薬品は使用を制限すべきか」という質問に対し、51.7%にあたる2171人が「制限すべき」だと答えた。
理由については、「医療経済や皆保険制度を維持するため」という理由が大半。具体的には、「一部の利益のために全体の資源を消費し、医療が受けられない人が出てくるのは問題だと思う。患者としては藁にもすがる思いなので薬自体の否定はできない。民間の保険でカバーするのはベターだと思う」(30代、整形外科・スポーツ医学)や「どうしても必要なケースは限られており、代替薬、方法はある。医療経済的に考えれば安易に高額な医薬品を使用するべきではない。医師もコストパフォーマンスを考えて処方するべき」(40代、耳鼻咽喉科)といったコメントなどが寄せられている。
■ 必要な患者の見極めは困難
一方、「制限すべきだが、実際には難しい」という答えも35.5%(1492人)と次いで多かった。コメントでは、「必要な患者を見極めることは難しい」や「制限には国民からの理解が得られないだろう」といった意見が多かった。
また、「制限すべきではない」は4.7%(196人)にとどまった。「現場で医師が対象を判断するのは困難。薬価などで調整すべき」といった声がみられた。
そのほか、「わからない」は8.1%(340人)に上っている。
厚労省は、今回の件を受けて、高額な医薬品を使用するうえで参考にすべきガイドラインを整備していく方針。施設の設備や専門医の配置などを基準に取りまとめていく考えだ。
さらに、塩崎恭久厚労相は、14日の経済財政諮問会議で、18年度にも薬価の抜本的な改革を行う考えを示している。