高校生の7割が投資に興味があり、将来お金を稼ぐために「大企業に就職」したい―。学習管理アプリなどを展開するスタディプラス(株)(本社:東京都千代田区)の研究所が高校生を対象に行った調査で、こうした意識が浮き彫りとなった。一方で、投資に対しては〝ハイリスク〟〝ギャンブル〟といったネガティブな回答もあった。
調査は、新NISAなどで注目が集まっている資産形成や投資といったテーマに対して高校生が抱くイメージや、大学進学に関連した金銭的な事情を深堀することを目的に実施。同社が学習管理アプリ「studyPlus」上で全国の高校生を対象に行い、「金融教育」と「お金」に対する考え方を尋ね、512名から回答があった。
3割が金融教育の影響受ける
調査では、一昨年4月から高校で義務化されたお金や資産形成、投資に関する授業である「金融教育」の実態を聞いた。金融教育を受けているのは約6割で、約半数が「家庭科」と「公共」の授業で行われていると回答。授業内容は6割以上の65.2%が「わかりやすい」と答え、金融教育の影響は3割が「受けた」とした。2割は「あまり影響を受けたと感じない」と答え、「もともと投資や資産形成に興味を持っていた」は3割。
金融教育のイメージを複数回答で聞いたところ、「わからない・難しそう」が最多の24.6%で、以下、「将来的には必要・意味のあることだと思う」「必須・大事・知っておいたほうがいい」が7.9%、6.3%。6.5%は「投資の失敗などリスクを考えてしまう」とした。
「投資は胡散臭い」2.5%
さらに、高校生が投資に対して持つ印象を聞いたところ、「興味がある」として、将来投資を行う可能性があるとしたのは7割。すでに投資を始めているのは全体の4.7%だった。投資を行っている高校生の約半数が「親の影響で投資を始めた」と答えた。投資している商品は、投資信託が最多で、外国株式、国内株式現物、外国為替、金・プラチナ、ペイペイポイント運用、単元末満株など。
投資に興味のある高校生が多いものの、投資に対してネガティブな気持ちを抱いている高校生も多い。最多意見は、投資は「難しい」で、全体に占める割合は25.6%で、「ハイリスク・失敗が心配・怖い」23.2%が続く。「博打・ギャンブル」と考えている高校生も9.6%いた。「うまく活用すれば利益を得られる」「面白そう・やってみたい」は4.1%、2.9%。「怖い・胡散臭い」は2.5%という結果となった。
半数以上が奨学金を利用予定
将来、お金を稼ぐためにしたいこととしては、約半数の44.9%が「大企業に就職したい」と答えた。「副業したい」が29.9%、「弁護士や医師などの難関資格を取りたい」27.7%、「公務員になりたい」25.0%といった回答も多かった。
さらに、学費や奨学金に関しても、高校生の考えを確認した。保護者と大学進学の学費を相談したタイミングは、約半数が高校2年生の前半までに行っている。また、大学進学時に日本学生支援機構による給付・貸与型奨学金の利用意思を訪ねたところ、55.0%と半数以上が利用する予定とした。
調査結果を受け、研究所では、「金融教育は高校生が一定理解し、重要性を感じているような結果が得られているが、授業を通じて実際の投資・資産形成への興味関心を引き出せているかという観点では、まだ道半ば」と分析。さらに、大学進学に関わる費用を比較的早い段階から親と相談する傾向がみられたことを踏まえ、「大学の学生募集という観点で、進学費用に関する制度やメリットの発信も一つのポイントになりそう」との見方を示している。