日本財団が17歳から19歳の若者に聞いた調査によると、4割に満たない国の食料自給率について、若者の6割近くが問題視していることが明らかとなった。食料不足になったときに対応できないことへの懸念を示したもの。こうした現状の要因として、輸入に頼り過ぎていることなどをあげ、食料確保のための輸入制限に関しては、半数以上が「仕方ない」と答えた。
食事で重視、「美味しさ」がトップ
日本財団が17歳から19歳の男女1000名に対してインターネットを介して行った調査によると、食事で重視するものとして最も多かったのは「美味しさ」で66.1%。以下、「空腹を満たす」(47.8%)、「安価」(38.6%)が続く。さらに、「安全性」(27.8%)、「健康」(26.2%)も重視している。
食品を購入する際に考えることとしては、「値段が安い品物」が64.8%で最多。次いで「美味しさ」(58.1%)、「栄養のバランス」(32.7%)、「国産品や地産地消」(22.7%)といった声が多かった。
コロナ禍での食生活の変化についても聞いた。「変化した」と答えたのは全体の25.2%でさほど多くなかったが、食生活が変化した層で、最も多い変化は「外食が減った」(84.5%)。65.1%が「家族と食事をする時間が増えた」、52.4%が「健康な食生活になった」、43.7%が「一人で食事をする時間が増えた」と回答した。さらに、「料理をする機会が増えた」のは61.3%だった。
農家の減少や高齢化が要因
38%と低水準にあるカロリーベースで見たわが国の食料自給率に関しては、59.8%が「問題だ」と回答。10.9%の「問題ない」を大きく上回った。「わからない」は29.3%。問題だと思う理由としては、「食料不足となったときに対処できない」が最多で77.9%となり、「国際情勢の変化で物流がストップする可能性がある」(47.8%)、「環境の変化により食料事情が悪化する恐れがある」(30.1%)が上位に挙がった。
さらに、わが国の食料自給率が低い理由としては、「第一次産業に就いている人が少なく、また、高齢者が多いため」「農家が減っているから」「農家の高齢化が問題となり高齢者がなかなかいないから」など、農家の減少や高齢化、人手不足であることが大きな要因であるという回答が多く聞かれた。
また、「輸入にあまりに頼り過ぎている」「安い値段で輸入できる食料に頼り過ぎている」「外国産の安価な食材に国産の食材の需要が奪われている」など、多くを海外からの輸入に依存していること、さらに消費者の安価な輸入品を求めてしまうため、一層国産食品の需要が減ってしまっているとの指摘も多い。
食料とともにコロナ持ち込まれる
食料確保のための輸入制限に関しては、全体の52.2%が「仕方がない」と回答し、「問題だ」とした22.5%の倍以上となった。「わからない」は25.3%。「仕方がない」とした理由としては、「まずは自国を第一に考えなければならず、他国への輸出制限解除はその次」など、自国の食料を確保し、自国を守ることは当然であるという回答が多くみられた。
さらに、「コロナを食料とともに持ち込まれても困る」など、根拠に乏しいものの、輸入品を通して現在猛威を振るっている新型感染症が持ち込まれるという危険性があるという指摘もあった。
一方、「問題だ」とした理由は、「他国の食料が日本に回って来ず、日本で食糧不足が起こると考えられる」など、わが国のように食料自給率の低い国では国内で食料不足が起こる可能性があるという意見が目立った。
食料不足に備えて力を入れるべきこととしては、「第一次産業の立て直し」(23.6%)が最多で、「消費者意識を変える」(13.6%)、「食料生産のための労働力の確保」(11.8%)が上位に挙がった。
さらに、ここ数年代替たんぱく源として注目を集めている昆虫食を「未来の食材」になるかという質問では、32.6%が「思う」、29.8%が「思わない」と答えた。