農林水産省は、平成29年度農林水産情報交流ネットワーク事業で全国調査として実施した「食料・農業及び水産業に関する意識・意向調査」の結果を公表した。この調査は、今後の施策の企画・立案の参考とすることを目的としたもので、今回は、農林水産情報交流ネットワーク事業の消費者・農業者・漁業者・流通加工業者モニターを対象に、「国産の生鮮食品の購入等についての意識」、「アニサキスの認識」、「ICTの活用についての意識」、「農畜水産物及び食品等の入出荷記録の保存の取組状況等」が調べられた。
農業従事者の減少、高齢化等が進行する中で、農政を改革し国内農業の活性化を図っていくことが重要な課題となっている。また、水産業についても、水産物の生産体制の脆弱化、水産物消費量の減少など、多くの課題に直面している。
このため、農林水産省では、「攻めの農林水産業」を展開しており、農林水産業を産業として強くしていく取り組みと、多面的機能の発揮を図る取り組みの両者を一体的に推進している。
今回の調査は、こうした中で農林水産業の活性化を図り、食料の安定供給を実現するため、農林水産業の現状や施策の方向性について多くの人に理解してもらい、農業・農村や水産業・漁村を支える社会の構築に向けて、今後の施策の企画・立案の参考とすることを目的に実施された。
調査は、全国の農林水産情報交流モニターのうち、農業者モニター、漁業者モニター、流通加工業者モニター(木材関係除く)、消費者モニター(農林水産行政に関心がある20歳以上の者)を対象に行われた。調査結果については、消費者モニター880人、農業者モニター1081人、漁業者モニター261人、流通加工業者モニター458人の計2689人の回答がとりまとめられている。
― 調査結果の概要 ―
国産を強調した商品を目にするか
消費者モニターのうち、国産の生鮮食品について、82.1%が「魅力を感じる」、15.5%が「やや魅力を感じる」と回答した。これらの者に、生鮮食品を購入する時に、国産を強調した消費を目にするか聞いたところ、70.9%が「目にする」、25.3%が「たまに目にする」と答えている。
アニサキスの認識
消費者モニターに対し、アニサキスを2016年以前から知っていたか聞いたところ、51.7%が「以前から知っていた」と回答。33.9%が「2017年になってから知った」と回答した。また、13.4%が「アニサキスを知らない」と答えている。
「アニサキス」は、寄生虫(線虫)の一種で、さけやいか等の海産魚介類に寄生していることがあり、幼虫が寄生している海産魚介類を生で食べた場合、食中毒を起こす場合がある。2017年はアニサキスによる食中毒の問題がマスコミ等で取り上げられることが多かった。
漁業経営におけるICTの活用
漁業者モニターに対し、漁業経営にICTを活用してみたいか聞いたところ、64.4%が「特にICTの活用は考えていない」と回答した。18.0%は「既にICTを活用している」と答えている。また、17.6%が「ICTを活用する計画がある、または活用を考えている」と回答している。
国産原材料を使用する際の課題
流通加工業者モニターに対し、国産原材料を使用する際の課題について聞いたところ、「価格が高い」と回答した割合が49.0%で最も多かった。次いで「必要な量を確保できない」が17.8%、「生産者、産地、供給元との信頼関係の構築」、が17.3%、「必要な時期に確保できない」が10.3%、「品質が悪い・品質にばらつきがある」が2.3%で続いている。
水産流通加工におけるICTの活用水産物を取り扱っている流通加工業者モニターに対し、経営に際してICTを活用してみたいか聞いた結果、68.4%が「特にICTの活用は考えていない」と回答し、22.5%が「ICTを活用する計画がある、または活用を考えている」と答えている。また、8.0%が「既にICTを活用している」と回答した。