総務省消防庁は1日、新型コロナウイルス感染症の対策の一環として使用されることの多い飛沫防止用シートについて、設置時のポイントをまとめて周知した。大阪府でボヤ騒ぎがあったことから、調理器具など火器を伴う設備や白熱電球といった熱源から距離を取るよう求めている。
政府の専門家会議は、「新しい生活様式」の中で感染対策として、「人と人が対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽するべきだ」と提言。
しかし、このたび大阪府内の商業施設において、ライターを購入した客が試しに点火したところ、シートに着火する事故が発生した。大きな火災にはならず、けが人も出なかったという。
これを受け消防庁は、全国の消防本部などに注意事項を通知。シートは材質によって着火・燃焼しやすいものがあるとして、前述の通り熱源から一定の距離を取るほか、
・スプリンクラー設備の散水障害が生じない位置に設置するとともに、自動火災報知設備の感知器の未警戒部分が生じないようにすること
・避難の支障とならないよう設置すること
・必要に応じて難燃性又は不燃性のものの使用を検討すること
‐といった点に注意するよう呼び掛けている。
消防法では、工場や病院、学校などでカーテンを着けたり、部屋を仕切ったりするときには、原則として防炎もしくは不燃素材のものを使用することが義務付けられている。一方、今回問題視されている衝立代わりのシートについては明確な制限がないという。
また、消毒用アルコールの取り扱いについても注意が必要になる。消防法では、アルコール度数が60%以上のものを「危険物」に指定。こうした製品は引火しやすいため、火気に近づけないよう注意を呼びかけた。なお、これらから発生する可燃性蒸気は、重量が空気より重く、低い場所に溜まりやすいと指摘。直射日光が当たる場所での保管を避け、詰め替えの際は通風性の良い所で行うか、十分に換気しながら行うよう訴えている。