国立感染症研究所は2日、3月18日から24日に全国で74人が風疹と診断されたことを発表した。これにより、今年に入ってからの累計患者数は1033人となった。人数は1万4344人が罹患した2013年に次ぐペースで増えている。
患者数を地域別でみると、これまでで最も多いのは東京都の309人。それに神奈川県の140人、千葉県の99人、大阪府の92人などが続く。人口100万人あたりの患者報告数は全国平均が8.1人。都道府県別では、東京都の22.9人が最多で、福井県の16.5人、千葉県の15.9人の順となっている。
風疹は熱や発疹、リンパ節の腫れといった症状が出る病気。くしゃみや咳を通じて広がり、妊婦が感染した場合は胎児の心臓などに障害が残る「先天性風疹症候群」を引き起こす可能性がある。今年1月には2014年以来、埼玉県で5年ぶりに届け出が報告されている。ワクチンで予防できることから、感染研は接種を推奨。女性に向けては、妊娠中にワクチン接種が受けられず、受けた際は2ヵ月間妊娠を避ける必要があると指摘。妊娠前に2回の風疹含有ワクチンを受けておくことと、妊婦の周囲の者に対するワクチン接種を行うことが重要だとしている。
予防を後押しするため、厚生労働省は今年度から3年間、公的なワクチン接種を受ける機会がなかった40歳から57歳の男性の接種費用を原則無料にする制度を実施。市町村は抗体検査を受けられるクーポン券を送付している。