中央省庁や地方自治体等での障害者雇用水増し問題が昨年大きく報道されたが、こうした事案について「あってはならない」と強く批判しているハイティーンは半数未満の4割であったことが、日本財団が17歳から19歳を対象に実施していている『18歳調査』で明らかとなった。水増し問題では、法定雇用率2.5%を達成するために、医師の診断書を確認せずに障害者と認定するといったケースが多数指摘された。〝18歳〟の回答はサポート体制への懸念などを踏まえたもので、「法定雇用率を達成できなかった場合の罰則をなくし、達成できた場合に報奨金を支給するような仕組みにすればいいと思う」といった冷静な提案がみられた。
調査によると、障害のある人に接したり、働いているようすを見たことが「ある」と回答したのは全体の63.0%で、「ない」は23.0%。「わからない」は14.0%だった。
また、介助体験について聞いたところ、障害のある人が困っているときに、手助けをしたことがあると答えたのは45.8%となった。5割以上が「ない」としたが、理由は「どう手助けをしたらよいか分からなかった」がトップで34.6%。次いで「必要がないと思った」(24.0%)、「なんとなく」(19.5%)が上位を占めた。
一方で、介助体験をしたことがあると回答した〝18歳〟にも理由を聞いた。「手助けするのは当たり前だと思う」(48.1%)が最も多く、次いで、「困っているときはお互い様だと思う」(39.6%)、「身近に障害のある人がいて大変さを知っている」(20.8%)が上位に挙がった。
障害者雇用への関心の低さも
障害者の雇用率が定められていることの認知度に関して調査した結果、50.0%と半数が雇用率を知っていることが明らかとなった。一方で、国内の障害者人口や障害者雇用率について聞いたところ、「知らない」が81.5%を占めるなど認知が進んでいないことがわかった。厚労省の調査(平成28年度)によると、障害のある人はわが国人口の約7.4%に相当する約936万人に上り、民間企業の実雇用率は約1.9%となっている。
また、法律で定められている民間企業の『法定雇用率2.2%』について、障害者の雇用の機会は充分確保されているかどうかという質問に対しては、10.4%が「充分」、44.4%が「充分ではない」と回答。しかし、45.3%が「わからない」と答えており、障害者の雇用への関心の低さも浮き彫りとなった。
「充分」と回答した〝18歳〟に理由を聞くと、「障害を持っている人の中で働ける人は限られている」「多すぎると障害を持っていない人の雇用が減ってしまう」「サポートする周りの人が大変になる」といった答えが聞かれた。
「充分ではない」理由としては、「国内人口に占める障害者の割合が7.4%なのに2.2%というのは少なすぎる」という内容が目立つ。また、「障害のない人と同様に雇用機会を与えるべき」「環境を整えて障害者の働く選択肢を増やすべき」などの意見も多くあがった。さらに「自分の身の回りで働いている障害者を見かけない」など、障害者の雇用が少ないと実感として感じている人もいた。
障害者雇用への関心の低さも
法律では、国、自治体の障害者雇用率は平成30年4月から2.5%となっているが、この雇用率を満たすために、水増し報告がされていたことが明らかになったが、この事実について〝18歳〟の3割近くが知っていたと答えた。やむを得ないと回答したのは11.6%だったが、理由を聞いたところ「現実的には難しい。数字を決めずにサポート面を強化したらいいと思う」「法定雇用率を達成できなかった場合の罰則をなくし、達成できた場合に報奨金を支給するような仕組みにすればいい」などの意見が聞かれた。