障害福祉サービス最大手のLITALICO(りたりこ)が介護事業に本格参入する。先月、機能訓練に特化した通所介護などを全国規模で手掛ける株式会社nCSの完全子会社化を発表。障害福祉・介護の両分野で更なる事業展開を図る方針を打ち出した。
「我々にとっては重要なターニングポイントとなる。近接領域のシナジーやスケールメリットで成長を加速させていきたい」
LITALICOの辻高宏専務取締役CFOは、編集部の単独インタビューに応じてこう述べた。介護保険サービスの運営に乗り出すのは今回が初めてだ。
障害者の就労支援の「LITALICOワークス」、障害児向けの「LITALICOジュニア」などで知られるLITALICOは、全国に270以上のサービス拠点を有する。そのノウハウを活かして他の事業者の経営を支援したり、障害福祉に的を絞った複数のメディアを運営したりと、以前から関連事業を多角的に推進してきた。
介護分野にはITソリューション事業で既に参入している。2021年、2022年と、クラウド型介護ソフトや請求システムなどの開発ベンダーを相次いで買収。現在、LITALICOグループのプロダクトを導入している介護施設・事業所は6000以上にのぼっている。
新たにグループ会社となったnCSは、全国に110以上の事業所がある「リハビリデイサービスnagomi」が主力。LITALICOは採用連携などを通じてその出店拡大やサービスの充実を図る。nCSのノウハウや事業所運営で得られるデータを活かしてITソリューションの充実化、品質向上にもつなげる、という好循環を作る青写真を描いている。
辻CFOは、「個性の違うひとりひとりを大切にする、という我々の理念は介護分野でも必ず活かせるはず。今回のM&Aは何よりサービスの質の向上につなげたい。事業の更なる拡大により、個別最適化したきめ細かいサービスの提供を実現していきたい」と説明。「子どもでもお年寄りでも関係なく、その人のライフサイクルに応じて適切なサービスを提供する、またはその人の一生に寄り添うサービスを提供する、そんな会社へと発展を遂げたい」と語った。