消防庁はこのたび、「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査結果」を公表した。それによると、2017年度の公共施設などの全体の耐震率は93.1%で、前年からは割合が0.9%上がっていた。
地方公共団体の公共施設などは、多数の利用者が見込まれるほか、地震災害の発生時には災害応急対策の実施拠点や避難場所・避難所になるなど、防災拠点としても重要な役割を果たしている。そのため、消防庁はこうした施設の耐震化状況を確認するため、調査を行っている。データは、今年3月31日時点のもの。47都道府県、1741市町村を対象に実施した。
病院や診療所にあたる「診療施設」は、3068施設中2811施設が耐震化を実施。耐震率は91.6%だった。地域別にみると、最も高いのは大分県の100.0%で、次いで神奈川県と長野県の98.6%が多く、東京都の98.5%、山梨県の98.3%、石川県の98.1%などが続いた。
一方、最も低かったのは香川県の71.7%。次いで岡山県の73.9%や島根県の76.7%が低くいほか、山口県の82.4%、三重県と宮崎県の83.7%が続いている。
また、高齢者や障害者ら向けの社会福祉施設をみると、全体の耐震率は前年比1.5%の88.0%。具体的には1万9741施設中、1万7376施設が耐震化を行っていた。都道府県別で割合が最も高かったのは、東京都の99.0%。それに、佐賀県の98.9%、静岡県の97.0%、愛知県の96.6%、神奈川県と福井県の96.0%が続いた。
最も低かったのは鹿児島県の69.3%。以下、山口県の73.0%、広島県の74.3%、愛媛県の75.3%、岩手県の75.8%の順となっている。
■ 早急な耐震化を要求
調査結果を受け消防庁は11月27日付で、都道府県に向けて公共施設の耐震化を進めるよう求める通知を出した。全ての公共施設の6.9%にあたる1万3128棟で対策が不十分だと指摘。熊本地震などで耐震性の不足によって使用不能となった施設があったことを踏まえ、耐震化へ早急に取り組むよう要求。今回の調査結果の周知と合わせて、所管する市町村へ耐震化に向けて必要な助言などを行うよう促した。