2017年10月13日 防災情報共有体制の構築など港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策

国土交通省は、港湾での高潮対策を進めるための「港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策ガイドライン」の中間とりまとめを5日に公表し、全国に先駆けて三大湾で「フェーズ別高潮対応計画」の検討を開始することを発表した。中間とりまとめでは、堤外地で検討すべき高潮対策として、フェーズ別高潮対応計画の策定、エリア減災計画の策定、防災情報共有体制の構築をあげている。

ガイドライン策定の趣旨について中間とりまとめでは、我が国の港湾においては、海岸保全施設より海側のいわゆる堤外地に物流機能が集中し、様々な企業が立地していることを指摘。

特に、我が国の経済活動の中枢である三大湾では、臨港地区の8割以上が堤外地であることから、高潮被害により、我が国全体の物流・生産活動が大きく停滞する可能性があるとの見解を示した。

その上で、堤外地の立地企業や人命を守り、港湾の堤外地等における高潮対策を推進することを目的にガイドラインを策定することとしている。

 

高潮対策の基本的な考え方

堤外地における高潮対策の基本的な考え方について中間とりまとめでは、海岸保全施設より海側のいわゆる堤外地は、規模の小さい高潮でも浸水する可能性があることから、ガイドラインでは、最大規模の高潮だけでなく、堤外地のみが被災する規模の高潮についても検討の対象とすることを規定した。

また、高潮の規模を考慮しつつ、「堤外地の人命を守る」ことに加えて、社会・経済活動への影響を最小化するため、「堤外地の資産の被害を低減する」ことの2つの目標を設定した。

 

検討すべき高潮対策

堤外地で検討すべき高潮対策のうち、フェーズ別高潮対応計画の策定では、高潮は、気象庁が発表する注意報や警報等の気象情報により、事前の予測や警戒レベルの把握が可能であることから、港湾管理者や立地企業等が各主体ごとに、気象情報のレベルに応じて、予め取るべき浸水対策や避難行動を整理することとしている。

エリア減災計画の策定では、港湾機能や産業機能が集積し、高潮による被害が大きい地域などについては、フェーズ別高潮対応計画だけでは不十分であることから、関係行政機関や民間企業等が連携し、避難誘導計画等の共有やハード対策等の検討を行うことをあげている。

防災情報共有体制の構築では、フェーズ別高潮対応計画を実効性のあるものとするため、地方整備局等において、防災情報の共有体制の構築を図ることを掲げた。

国交省では今後、今年度中に港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策検討委員会(委員長:岡安章夫東京海洋大学学術研究員教授)の第4回会合を開催し、委員会で議論しながら、ガイドラインの最終とりまとめを行う方針だ。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.