2019年7月12日 阪大とシスメックスが包括連携 ヘルスケア分野の新たなイノベーション創出へ

大阪大学とシスメックス株式会社(本社:神戸市)は、シスメックスが有する診断技術と阪大が有する情報科学分野における知見を活用したヘルスケア分野における新たなイノベーション創出に向け包括連携契約を締結した。今後2022年3月まで共同研究や学生研究員支援などにおける提携を行う。

人工技能=AIに代表される情報技術は、次世代の産業構造を創り出すイノベーションの中核技術として注目されている。

ヘルスケア分野においても、近年、膨大なゲノム情報を取り扱う遺伝子検査の普及や、予防医療への関心の高まりなどを背景として、医療機関が取り扱うデータ量が多様化かつ膨大化している。

膨大化したデータを、医療機関の業務最適化や品質向上、さらには個別化医療に必要とされる精密な診断法や薬効予測技術の開発などに応用するために情報技術へ期待が高まっている。

シスメックスは、バイオインフォマティクスを中心とした情報解析技術に関する研究開発の強化を目的に、神奈川県川崎市にある殿町国際戦略拠点キングスカイフロント内ライフイノベーションセンターに、新たな研究開発拠点「スカイフロントリサーチキャンパス」を2017年に開設した。

この研究開発拠点では、次世代に医療・診断を支えるITソリューション・プラットフォームの開発・展開を加速するため、(株)オプティムと「先端技術×AI・IoT」領域で業務提携を行うなど、情報技術を活用したヘルスケア分野におけるイノベーション創出に取り組んでいる。

阪大は、2016年にビッグデータの利活用促進を目指した「データビリティフロンティア機構」を設立。AIをはじめとする高度な情報技術を駆使し、社会的、公共的、経済的価値の創造を促進するための学際研究を推進するとともに、実社会の研究者・技術者を対象に育成講座を開講することで、AI分野における即戦力人材の育成にも注力している。

阪大とシスメックスは、シスメックスが有する診断技術と阪大の情報科学分野における知見を活用し、個別化医療や予防先制医療をはじめとした新たな診断技術や、新たなヘルスケア事業の創出に向け、包括連携契約を締結したもので、共同研究では、ヘルスケア分野における新たなイノベーション創出を目指す。

 

女性研究員の積極的な参画を推進

また、学生研究員支援では、共同研究で設定された研究テーマなどに阪大学生が参画することで、学生研究員の育成に取り組む。早速、今年8月からシスメックスの中核研究開発拠点のテクノパークにおいて学生の受入れを開始する。

シスメックスは、阪大が推進するダイバーシティ研究環境実現イニシアティブに2年前の2017年度から参画し、女性研究員の育成などにも取り組んでいる。今回の包括連携の共同研究や学生研究員支援においても女性研究員の積極的な参画を推進するという。

阪大とシスメックスは、「シナジーを発揮し、高度な情報技術を応用したヘルスケア分野におけるイノベーション創出を通じて、衣料の発展と人々の健やかな暮らしの実現に貢献したい」とコメントしている。


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