総務省は、今後の主権者教育推進の参考資料とするために実施した、全国の選挙管理委員会を対象に、選挙前出前授業などの取組状況を調査した「主権者教育等に関する調査」と、18歳から20歳までの有権者を対象に、投票や主権者教育受講の状況などに関するインターネット調査「18歳投票権に関する意識調査」の結果をこのほど公表した。主権者教育等に関する調査では、選挙出前授業の実施団体(選挙管理委員会数)は、平成27年度で655団体、28年度(7月10日まで)では552団体となり、いずれも25年度と比較して3倍以上に増加している。
高校での出前授業の実施学校数と受講生をみると、27年度は、実施学校数が1652校、受講生数が45万3834人であり、25年度と比べて実施学校数で約30倍、受講数では約50倍に増加した。模擬選挙の実施テーマは、「特定の地域課題に関するもの」が265校で最も多かった。
高校以外での出前授業の実施学校数と受講生数をみると、実施学校数は延べ1350校、受講生数は15万1177人となっている。
第24回参議院選挙での高校生、大学生の選挙事務起用団体数と起用人数をみると、高校生を起用した団体は248団体で第47回衆議院選挙と比較して約15倍、起用人数は3866人で約11倍に増加している。大学生では、起用団体数が310団体で約3倍、起用人数は5121人で約2倍となっている。
学校での選挙出前授業または模擬選挙への意見として、出前授業を実施している団体からは、人員の調整に苦労したこと、学校の指導カリキュラムとの調整や選挙時などの繁忙期の対応が難しかったことなどが挙げられている。それに対し、実施していない団体からは、対応する人材が不足していること、学校からの応募、要請がないことをあげている。
18歳選挙権に関する意識調査
18歳選挙権に関する意識調査では、調査対象となった全国の満18~20歳の男女個人3000人のうち、投票に行った者は全体の52.5%に当たる1574人であった。
投票の方法は、「現在住んでいる市区町村で当日投票」した者が約7割であった。また、投票の動機は、選挙権年齢の引き下げが投票のきっかけとなった者が最も多く、33.5%を占めた。
一方、投票に行かなかった者は1426人(全体の47.5%)で、理由は、「今住んでいる市区町村で投票することができなかったから」が21.7%で最も多く、年齢別では18歳(15.6%)よりも19歳(27.5%)の割合が高かった。
高校で選挙・政治に関する授業を受けた人の投票についてみると、何らかの授業を「受けたことがある」者の方が、受けていない者と比べて投票した割合が約7ポイント高い(受けたことがある者55.7%、受けたことがない者48.5%)。
また、子どものころに親が行く投票について行ったことが「ある」者の方が、ついて行ったことがない者と比べて、投票をした割合が20ポイント以上高くなっている(ついて行ったことがある者63.0%、ない者41.8%)。
高校生が選挙や政治に関心を持つためにすべきこととしては、「学校で模擬選挙を体験する」が23.1%で最も多かった。