2018年2月21日 連携研究室が始動 同志社大と理研、発達障害など共同で

同志社大学学研都市キャンパスにおいて、発達障害などの共同研究を行う「連携研究室」の整備を進めていた同大研究開発推進機構と理化学研究所医科学イノベーションハブ推進プログラムは、研究体制の準備が整い、このほど始動した。

同志社大赤ちゃん学研究センターと理研医科学イノベーションハブ推進プログラムの健康医療データ多層統合プラットフォーム推進グループは、昨年5月から「生体リズムに着目した発達障害の解析」、同11月からは「胎児心電図計測技術の高度化」の共同研究を進めている。

発達障害の原因は複雑で多岐にわたり、発生過程は不明な点が多いのが現状。共同研究は、発達障害児の多くが睡眠障害を伴っており、睡眠治療によって発達障害の症状が改善するという臨床的な発見に基づき、新しい診断法と治療法の開発を目的としている。

共同研究では、妊娠期から乳幼児期までのさまざまなデータを取得し、発達障害の発症のリスクとなる多様な環境要因を明らかにすることを目指している。

赤ちゃん学研究センターの小西行郎センター長は、「赤ちゃん学研究センターは、胎児期からの発達原理と発達障害の発生メカニズムの解明に向けて、異分野融合の新しい学問領域を創造しようと活動している。これまでの研究によって胎児のもつすばらしい能力を明らかにし、出生後もみずから動き、成長、発達する赤ちゃんという新しい赤ちゃん観をつくり出してきた。連携研究室を活動の場として、高度なビッグデータ解析技術を持つ健康医療データ多層統合プラットフォーム推進グループと、発達障害の発症メカニズムの解明を強力に進めて行く」と決意を新たにしている。

理研の桜田一洋グループディレクターは、「国内有数の発達障害に関する研究機関である同志社大赤ちゃん学研究センターとともに活動できる場を提供してもらった。多くの医療機関と連携して、質の高い、多くの臨床データを集積でき、かつ解釈が可能な赤ちゃん学研究センターとビッグデータ解析技術に優れる理研とが共同することで、発達障害の原因解明や予見、診断のアルゴリズムを開発することが可能になると確信している」と述べている。

 

生体リズムに着目した発達障害の解析

リズム障害並びにリズムの同期障害に基づく発達障害発症のメカニズム、特に妊娠期間中の炎症を起点とするスキームを明らかにするため、妊婦、胎児、幼児の各種データ(胎動、心電図、睡眠等)、並びに睡眠障害児や自閉症児の生体リズムデータ等を連携機関から匿名化して収集、集積した上で、両者共同で解析・解釈し、リズム障害あるいはリズムの同期障害から、発達障害が生じる仕組みの理論モデルを構築する。併せてリバーストランスレーション研究を通して、モデルで提案された自閉症発症メカニズムの因果関係の解明に取り組む。

 

胎児心電図計測 技術の高度化

胎児心拍モニターの計測に影響を与える胎児の顔の位置と計測器の貼り方に拘らずに胎児エコー計測データを取得するため、胎児心拍モニターと胎児エコー計測機を使って、胎児の顔の位置と胎児心拍モニターの計測器の貼り方、胎児エコー計測データの相関関係を見出し、計測値を適切に読み替えるアルゴリズムを開発する。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.