NTTぷらら、吉本興業制作、近畿大学の全面協力の下に制作されたスペシャルドラマ「TUNAガール(ツナガール)」と、ドキュメンタリー番組「海を耕す者たち~近大マグロの歴史と未来~」が、9月28日から動画配信サービス・Netflixで世界に配信されている。近畿大では、吉本興業と包括協定を2016年12月に締結。大阪らしい〝おもろい〟研究や教育、情報発信を展開し、国内外にさまざまな価値を創出することを目指している。ドラマとドキュメンタリーは、NTTぷららが運営する映像配信サービスで今年3月から配信してきたが、「マグロ養殖の話でこれほど感動するとは」など賞賛の声が多数寄せられていることから、今回、Netflixでの配信が決まった。
壁に向かって突進して、失敗して傷ついて涙して。TUNAガールのパワーであなたの明日も楽しくなる―。スペシャルドラマ「TUNAガール」は、映画『幸福のスイッチ』などテンポの良いやりとりとお笑いセンスの高さが評判の安田真奈監督と、32年もの年月をかけてクロマグロの完全養殖に世界で初めて成功した近畿大の水産研究所がタッグを組んだ安全オリジナル作品。
このドラマで描かれるのは、クロマグロの完全養殖を成し遂げた近畿大水産研究所を舞台に、研究に情熱を注ぎ、将来に迷いながらも未来に走り出す〝今の若者たち〟。和歌山県の串本町を舞台に、元気いっぱいのヒロインが、地味ながらも熱い研究所での合宿を通して成長していく姿を描く。
主役はNHK朝の連続ドラマ「あさが来た」や映画「魔女の宅急便」等に出演、さらにNHKドラマ10「トクサツガガガ」で連続ドラマ初出演を果たした人気沸騰中の女優・小芝風花。TUNA(マグロ)の語源である〝突進〟の意味通り、どんな困難にも突進して傷つきながら成長していくヒロインを元気いっぱい演じている。
同時配信されるドキュメンタリー「海を耕す者~近大マグロの歴史と未来~」は全45分。スーパーや寿司屋などさまざまな飲食店で見かけるマグロ。世界有数のマグロ消費大国の日本に居ると、今ならどこでも手に入り、食べることができるが、1960年代、漁獲量が頭打ちとなり、供給の危機が迫ったことは、現在忘られつつある。
ドキュメンタリーの舞台は、和歌山県串本町。本州最南端にある近畿大水産研究所大島実験場では現在、完全養殖のクロマグロが育てられている。完全養殖は、卵を人工ふ化させて成魚に育て、それを親にまでして産卵させて人工ふ化・飼育することを繰り返すことで、天然資源に頼らない養殖技術。実は、この完全養殖を達成するまで、32年もの歳月をかけた研究者たちの戦いがあったという。
近畿大水産研究所の歴史は、創設された1948年にまでさかのぼる。戦後の食糧不足への対策として、近畿大の初代総長・世耕弘一が〝海を耕せ〟と提唱し、〝獲る漁業〟から〝育てる漁業〟へと転換するための研究が始まる。ブリの養殖から始まった研究所は、1970年に〝不可能〟と言われたクロマグロへの養殖へと乗り出していく。
しかし、クロマグロの人口ふ化・飼育は非常に難しく、共食いや衝突死で減っていくばかり。絶望と闘いながらも諦めなかった男たちは、32年に及ぶ激闘の末、ついに世界で初めて完全養殖を達成。さらにその2年後には初出荷にも成功する。
ドキュメンタリーでは、研究者らの長きにわたる〝戦い〟の歴史が描かれている。近畿大水産研の升間主計所長は、「私たちの研究成果の一つである完全養殖クロマグロの開発と苦労の一端が物語を通して広く知ってもらえることになり、関係者に深く感謝している」とコメント。さらに、作品は研究現場の状況を良く表現しているとし、「多くの人々に観賞していただきたい」としている。