2021年12月13日 農泊に関する意識・意向調査結果を公表 農泊推進の課題は人材、施設、知識・ノウハウの不足

農林水産省は、令和3年度食料・農林水産業・農山漁村に関する意識・意向調査の一環として実施した「農泊(農山漁村滞在型旅行)に関する意識・意向調査」の結果をとりまとめて公表した。それによると、「人材が不足している」、「宿泊・食事・体験サービスが提供できる施設が不足している」、「農泊の推進にかかる知識・ノウハウが不足している」ことが、市区町村が農泊を推進する上での課題となっていることが明らかになった。また、農泊を推進する上で地域に必要な人材として、「農泊の取組に対して意欲のある人」や「経営マインドやマネジメント力がある人」、「体験コンテンツの専門知識のある人」などがあげられている。

この調査は、農山漁村の多様な地域資源を活用し、農山漁村の活性化と所得向上を目的とした農泊の推進に関する取組についての意識・意向を把握し、今後の農村政策を検討する際の基礎資料とすることを目的としたもの。8月下旬から9月下旬にかけ、1741市区町村を対象に「農泊の取組状況」、「農泊実施に期待する効果」、「農泊推進の課題」などが調べられたが、有効回答数は1376市区町村(有効回答率79.0%)だった。

 

調査結果のポイント

〔市区町村における農泊の取組状況〕

市区町村における農泊の取組状況については、「市区町村では農泊を自らまたは他の主体と共同で実施しておらず、市区町村内において農泊を実施している団体もなく、今後とも市区町村として関与する予定はない」と回答した割合が42.4%で最も高かった。次いで「市区町村では農泊を自らまたは他の主体と共同で実施していないが、市区町村内において農泊を実施している団体がある」が19.5%で続いている。

〔市区町村として農泊を実施していない理由〕

農泊を自らまたは他の主体と共同で実施していない市区町村において、現在、市区町村として農泊を実施していない理由を尋ねた結果、「市区町村内で農泊をやろうという意見が出たことがない」と回答した割合が61.2%で最も高かった。また、8.7%が「農泊の取組がすでに進んでおり、今から支援する必要がない」と回答している。

〔市区町村域内の農泊の取組に対する関わり〕

農泊を自らまたは他の主体と共同で実施している市区町村において、市区町村域内の農泊の取組に対する関わりについては、「財政支援(農泊事業の主体や関連事業者に対する補助金等の交付や税制等による支援)」と回答した割合が48.3%で最も高かった。次いで「広報支援(市区町村域内外に対する農泊のPR、集客への協力等による支援)」が45.3%、「市区町村自らが主体または主体の一部となり農泊を実施している」が40.8%で続いている。

〔農泊を実施したことによる地域への効果〕

自らまたは他の主体と共同で農泊を実施している市区町村や、農泊を自らまたは他の主体と共同で農泊を行っていないが、市区町村内に農泊を行っている団体がある市区町村において、農泊を実施したことによる地域への効果を尋ねたところ、「来訪者が増えること等により、地域における収入が増加した」と回答した割合が32.6%で最も高かった。次いで「地域へ愛着を持つ人が増えた」が27.4%、「地域住民の心や体が元気になった」が27.0%で続いている。

〔今後農泊を実施することにより期待する地域への効果〕

農泊を自らまたは他の主体と共同で実施しておらず、市区町村内に農泊を実施している団体もないが、市区町村として農泊を実施したい、または農泊を実施する予定がある、実施する団体等を育成・支援したい市区町村に対し、今後農泊を実施することにより期待する地域への効果について質問した結果、「来訪者が増えること等により、地域における収入が増加する」と回答した割合が69.6%と最も高かった。次いで「定住人口が増加する(UIJターン等により人口が増加する等)」が40.0%、「二拠点居住等、継続して地域に関わる人(関係人口)が増加する」が39.6%で続いている。

〔市区町村が農泊を推進する上での課題〕

市区町村が農泊を推進する上での課題については、「人材が不足している」と回答した割合が47.8%と最も高かった。次いで「宿泊・食事・体験サービスが提供できる施設が不足している」が42.5%、「農泊の推進にかかる知識・ノウハウが不足している」が41.9%で続いている。

〔農泊を推進する上で地域に必要だと思われる人材〕

農泊を推進する上で地域に必要だと思われる人材については、「農泊の取組に対して意欲のある人」と回答した割合が81.1%で最も高かった。次いで「経営マインドやマネジメント力がある人」が47.7%、「体験コンテンツの専門知識のある人」が39.7%で続いている。

〔農泊を推進する上で地域に必要な人材を確保するために行おうとしている手段〕

農泊を推進する上で地域に必要な人材を確保するために行おうとしている手段については、「人材の確保をする意向がない」と回答した割合が54.3%と最も高かった。次いで「人材を確保したいがどうしたらよいかわからない」が20.5%、「地域おこし協力隊員を活用する」が14.5%で続いている。


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