農林水産省は、11月19日に二子玉川ライズ・スタジオ&ホール(東京都世田谷区)を会場に、「農業遺産シンポジウム」を開催する。当日は、企業と地域との活動事例の紹介や、各業界から企業の代表者を招いてのパネルディスカッションが行われる。また、20日には同じく二子玉川ライズ・ガレリアにて「農業遺産展示フェア」を開催し、地域産品の紹介等を通じて魅力を発信するとしている。
「農業遺産」は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたって持続可能な農林水産業が受け継がれてきた地域。持続可能な社会を目指す動きが広がる中、改めて農業遺産地域の有する価値がクローズアップされている。
こうした状況を踏まえて開催される今回の「農業遺産シンポジウム」は、民間企業と農業遺産地域の連携をより一層促すことを目的としている。
また、「農業遺産展示フェア」は、消費者に対し、農業遺産地域の産品紹介等を通じて地域の魅力を発信することが狙いだ。
さらに、先般の地震や大雨により甚大な被害を受けた石川県能登地域(世界農業遺産)の復興を応援するため、シンポジウム・展示フェアでは募金箱が設置されるとともに、写真の展示等が行われる予定だ。
シンポジウム・プログラム
シンポジウムでは、まず、基調講演「能登の里山里海を将来に受け継ぐために」が行われる。
次に、企業と歩む農業遺産地域の事例として、徳島県にし阿波地域の「にし阿波地域のおもてなし~傾斜地の田舎暮らし体験~」、三重県尾鷲市、紀北町の「ネイチャーポジティブと尾鷲ヒノキ林業」、熊本県阿蘇地域の「阿蘇の草原の維持と持続的農業を未来につなぐ」といった事例が紹介される。
続いて、「企業との連携で高める農業遺産地域の魅力」をテーマとしたパネルディスカッションが行われる。パネリストとして、石川県農林水産部里山振興室次長の堀田 知恵美氏、(一社)日本ウェルビーイング推進協議会代表理事の島田 由香氏、(株)農業総合研究所代表取締役社長の堀内 寛氏、(株)講談社「FRaU」編集長兼プロデューサ―の関 龍彦氏、日本旅行総合研究所主任研究員の桂 武弘氏が参加する。ファシリテーターは、農ジャーナリストの小谷 あゆみ氏が務める。
※世界農業遺産・日本農業遺産
「世界農業遺産」は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ・シースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域をFAO(国連食糧農業機関)が認定するもの。2002年に創設され、令和6年10月現在、世界で28ヵ国89地域、日本では15地域が認定されている。
「日本農業遺産」は、わが国において重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を農林水産大臣が認定する制度。2016年に創設され、令和6年10月までに24地域が認定されている。