2023年8月29日 農業における女性活躍に関する意識・意向調査 活躍に向け農作業省力化や働きやすい環境整備が重要

農林水産省は、令和4年度食料・農林水産業・農山漁村に関する意識・意向調査で実施した「農業における女性活躍に関する意識・意向調査」の結果をとりまとめて公表した。調査結果によると、個人経営体では、女性農業者がバランスの取れた農業経営への関わり方を実現するための有効な取組として「農作業の省力化(機械化・ITの活用)」、「農業技術・経営等に関する知識の習得」を挙げている。団体経営体では、今後、女性の雇用拡大のために取り組みたいこととして「働きやすい勤務形態(フレックスタイム制、産休・育休制度、休みの取りやすい勤務体制)の整備」や「福利厚生施設(女性専用トイレ、更衣室、休憩室等)の充実」を挙げている。

この調査は、個人経営体の経営主とその配偶者の女性農業者4000人、男性農業者4000人(共に65歳未満で自営農業に年間150日以上従事している者)、団体経営体1500経営体を対象に行われたもの。令和4年12月中旬から令和5年1月下旬にかけて、農業における女性活躍に関する意識・意向について調べ、個人経営体の女性農業者1693人、男性農業者1842人、団体経営体811経営体から得た回答がとりまとめられている。

 

調査結果のポイント

1.個人経営体

女性農業者の現在の農業経営への関わり方については、「共同経営者として関わっている」と回答した割合が全体の33.0%と最も高く、次いで「パートナーやその親族等が経営を行い、必要に応じて意見を述べている」が25.0%で続いている。

男性農業者の現在の農業経営への関わり方については、「経営者として関わっている」と回答した割合が全体の87.6%で最も高く、次いで「共同経営者として関わっている」が5.0%で続いている。

女性農業者の現在の農業経営における部門別の関わり方については、「生産部門」と回答した割合が全体の93.3%と最も高く、次いで「会計部門」が32.8%、「販売部門」が29.9%で続いている。

男性農業者の現在の農業経営における部門別の関わり方については、「生産部門」と回答した割合が全体の98.3%と最も高く、次いで「販売部門」が48.4%、「事業計画作成」が45.3%で続いている。

女性農業者の行政や農協等の農業関係機関が開催する研修会への参加状況については、「参加したことがある」と回答した割合が35.6%、「参加したことがない」と回答した割合が58.8%だった。

女性農業者の地域の農業者グループの活動への参加状況については、「参加している」と回答した割合が25.8%、「参加していない」と回答した割合が71.1%だった。

女性農業者の研修会や地域の農業者グループの活動への参加のしやすさについては、「参加したいと思わない」と回答した割合が31.4%と最も高く、次いで「参加しづらい」が28.4%、「参加しやすい」が23.6%で続いている。

女性農業者の研修会や地域の農業者グループの活動に参加しやすくするための有効な取組については、「行政からの声かけ」と回答した割合が43.3%と最も高く、次いで「グループ活動や研修参加中の農作業サポート」が37.6%、「男性に対する女性活躍の理解促進」が25.7%で続いている。

農業経営と家事・育児・介護の分担に関して、主に担当しているものについては、女性農業者では「家事」と回答した割合が全体の90.8%と最も高く、次いで「農業経営」が47.3%で続く。

男性農業者では、「農業経営」と回答した割合が全体の97.3%と最も高く、次いで「家事」が10.6%で続いている。

農業経営と家事・育児・介護との分担に関して、パートナーとの分担が適正だと感じているかについては、女性農業者では「適正な分担だと思う」と回答した割合が65.9%、「適正な分担だと思わない」と回答した割合が26.4%だった。

男性農業者では、「適正な分担だと思う」と回答した割合が81.7%、「適正な分担だと思わない」と回答した割合が12.2%だった。

分担について「適正な分担だと思わない」と回答した女性農業者が、自身の分担において最も減らしたいものについては、「家事」と回答した割合が全体の57.7%と最も高く、次いで「農業経営」が19.5%で続く。

「適正な分担だと思わない」と回答した男性農業者が、自身の分担において最も減らしたいものについては、「農業経営」と回答した割合が全体の46.4%と最も高く、次いで「家事」が29.9%で続いている。

女性農業者がバランスの取れた農業経営への関わり方を実現するための有効な取組については、「農作業の省力化(機械化・ITの活用)」と回答した割合が全体の45.0%と最も高く、次いで「農業技術・経営等に関する知識の習得」が41.5%で続く。

男性農業者が女性のバランスの取れた農業経営への関わり方を実現するための有効な取組については、「農作業の省力化(機械化・ITの活用)」と回答した割合が全体の54.1%と最も高く、次いで「農業技術・経営等に関する知識の習得」が51.1%で続いている。

 

2.団体経営体

自身の経営体で女性が働いているかについては、「働いている」と回答した割合が75.2%、「働いていない」と回答した割合が21.3%だった。

今後、女性をどの程度雇用していきたいかについては、「いい人がいれば雇用したい」と回答した割合が全体の51.2%と最も高く、次いで「更なる雇用は考えていない」が28.1%、「積極的に雇用していきたい」が19.0%で続いている。

また、「働いている」と回答した団体経営体において、現在、女性が従事している業務については、「生産部門」と回答した割合が全体の84.4%と最も高く、次いで「会計部門」が41.1%で続いている。

同じく「働いている」と回答した者、「積極的に雇用していきたい」、「いい人がいれば雇用したい」と回答した団体経営体において、今後、女性に従事してほしい業務については、「生産部門」と回答した割合が全体の76.7%と最も高く、次いで「会計部門」が41.8%で続いている。

さらに、「働いている」と回答した者、「積極的に雇用していきたい」、「いい人がいれば雇用したい」と回答した団体経営体において、今後、女性の雇用拡大のために取り組みたいことについては、「働きやすい勤務形態(フレックスタイム制、産休・育休制度、休みの取りやすい勤務体制)の整備」と回答した割合が全体の61.8%と最も高く、次いで「福利厚生施設(女性専用トイレ、更衣室、休憩室等)の充実」が42.2%で続いている。

「働いている」と回答した者、「積極的に雇用していきたい」、「いい人がいれば雇用したい」と回答した団体経営体において、女性の働きやすい環境整備に向けて最も優先して確保したい施設・備品については、「女性専用トイレ」と回答した割合が全体の27.8%と最も高く、次いで「休憩室」が15.8%で続いている。

現在の農業経営の関わり別にみた今後の関わり方の意向

女性農業者の現在の農業経営への関わり方別に今後の農業経営への関わり方の意向をみると、いずれの関わり方においても、現在の関わり方と同様の関わり方をしたいとの回答割合が最も高かった。

また、「経営者として関わりたい」や「共同経営者として関わりたい」と回答した女性農業者の割合の合計は、現在「経営者として関わっている」が84.8%と最も高く、次いで「共同経営者として関わっている」が83.3%、「特定部門の責任者として関わっている」が13.8%、「農作業以外の事務作業に関わっている」が9.5%、「パートナーやその親族等が経営を行い、必要に応じて意見を述べている」が6.8%、「指示された農作業だけを手伝っている」が5.4%だった。


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