農林水産省がとりまとめた「平成26年度 農村女性による起業活動実態調査結果」によると、平成26年度の起業数は全国で9580件と、前回調査時(平成24年度)に引き続き減少していた。個別経営の数は、前回調査時と比べると131件(2.7%)増の4939件となり、グループ経営の4641件を超えた。また、活動内容については、食品加工が73.6%で最も多く、次いで直売所などの流通・販売に関する取り組み、農業生産が続いている。また、流通・販売に関する取り組みのうち、インターネットでの販売が92件と増加しており、前回調査比では123%となっている。
農村等に在住している女性による、地域産物を活用した特産加工品づくり、直売所での販売、農家レストランの経営などの農林漁業関連起業活動は、女性の経営参画や地域社会・地域経済の活性化において重要な役割を果たしている。今回の実態調査は、この女性起業に関する今後の推進策の検討の参考とするため、都道府県の協力のもとで実施された。
起業数は減少
調査結果によると、平成26年度の農村女性による起業活動数は全国で9580件と、前回調査時に比べて139件(1.4%)減少した。このうち、グループ経営による企業活動は4641件だったが、近年減少傾向にあり、前回調査時に比べ270件(5.5%)減少している。一方、増加傾向にある個別経営による起業活動は、グループ経営を上回る4939件だった。前回調査時からは131件(2.7%)増加している。また、今回からグループ経営を行う起業活動において、代表が男性のグループ経営数の調査が行われたが、354件でグループ経営数の7.6%を占める結果となった。
順調に進む法人化
起業活動において法人形態をとっている個別・グループの経営体数は全体の10.5%にあたる1009法人だった。前回調査時に比べると179件(21.6%)増加しており、法人化が順調に進んでいることがうかがえる。また、内訳は、株式会社が218件で全体の21.6%と最も大きな割合を占めている。次いで特例有限会社が16.1%にあたる162件、農事組合法人が15.4%の155件で続いている。
構成員数、活動時期、年齢層、売上規模
グループ経営における構成員数をみると、10人未満のグループが2570件となっており、全体の55.4%と過半を占めている。次いで10~19人のグループが21.6%にあたる1003件で続いている。
活動開始時期をみると、平成17年以降に活動を開始した経営体が全体の35.9%にあたる3446件となっている。また、平成元年以前に活動を開始した経営体も9.6%にあたる918件あった。
年齢層をみると、グループ経営では平均年齢60歳以上の経営体が3456件で全体の74.5%であるのに対し、個別経営では56.8%にあたる2805件となっており、特にグループ経営で高齢層の経営体の比率が高くなっている。39歳以下の個別経営では、39歳以下が前回調査時から29件増加している。また、グループ経営における39歳以下の人数が「なし」の経営体は全体の69.2%を占めており、若年層メンバーが少ないことがうかがえる。
年間売上金額についてみると、個別経営では1000万円以上の経営体が368件となったが、前回調査時と比べると41件増加している。グループ経営については、5000万円以上の経営体が240件だったが、前回調査時からは20件増加している。一方、それ以外の階層の経営体は個別経営、グループ経営ともに減少しており、売り上げ規模が拡大している。
活動内容、食品加工が最も多い
活動内容(複数回答)については、「食品加工が7052件で最も多く、全体の73.6%を占めている。次いで「流通・販売」が70.1%にあたる6720件、「農業生産活動」が24.8%の2375件で続いている。特に「流通・販売」の取り組みは前回調査より351件増加しており、これまでの加工のみというスタイルから流通・販売を含めた6次化に女性が積極的に関わってきていることが分かる。また、「流通・販売」を形態別にみると、「直売所」での販売が92.5%にあたる6217件で取り組まれているが、インターネットでの販売も490件で取り組まれており、前回調査時から92件増加している。
今後の事業展開への意欲
今後の事業展開について聞いたところ、「拡大、新規展開していきたい」との回答が全体の19.1%にあたる1828件、「現状維持でいきたい」が56.7%にあたる5428件となった。585件だった「縮小、廃業を考えている」との回答数を大きく上回っている。
「拡大、新規展開していきたい」と回答した1828件のうち、「今後拡大、新規展開していきたい分野」については、「食品加工」との回答数が1259件で35.2%、「都市等との交流」が920件で25.7%、「生産物、加工品の販売」が884件で24.7%となっている。
今後の事業展開として「拡大、新規展開していきたい」、「現状維持で行っていきたい」と回答した7256経営体の事業展開・運営における課題としては、「人手の確保」が23.7%にあたる2767件、「販売ルート集客の確保」が21.2%の2472件で多かった。
総合化事業計画の認定
6次産業化法の認定に基づく総合化事業計画の認定については、「申請の予定はない」との回答数が4676件で49.7%、ほぼ半数を占めた。その一方、「計画認定済」が1.8%にあたる173件、「計画認定申請中、または相談中」、「今後申請したい」は合わせて335件に留まっている。