JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)と農研機構((国研)農業・食品産業技術総合研究機構)は、農作業事故安全啓発の一環として、農作業事故を当事者の視点から疑似体験することで「自分ごと化」できる体験学習型プログラム「農作業事故体験VR」の研修担当者向けマニュアル「農作業事故体験VRを活用した学習プログラムの手引き」を作成した。この手引きは、JA共済地域貢献活動HP「ちいきのきずな」内特設サイト「FARMERS 1ST」で9月30日から公開されている。
プログラムの学習効果を保ち 研修担当者の負担を軽減
近年、農業就業人口が減少する中、農作業事故は年間約6.4万件発生していると推測され、農作業事故を減少させることが喫緊の課題となっている。こうした背景の下、JA共済連と農研機構は農作業事故の未然防止を目的に、令和2年度から「農作業事故体験VR」を活用した学習プログラムの展開を開始している。
「農作業事故体験VR」のニーズは年々高まっており、JA主催のイベントや研修、県庁・自治体からの要請、農業高校・大学での授業など、様々な場面で活用されている。活用場面等が拡大することで、講師の役割を様々な研修担当者が担うこととなる。
今回作成されたマニュアルでは、どのような場面で活用されてもプログラムの学習効果を一定に保ち、研修担当者の負担を軽減することを目的としたもので、講義・グループ討論手法が紹介されている。
JA共済連と農研機構では、手引きの活用を通じて農作業事故未然防止にかかる取組を促進し、1件でも多く農作業事故を減らすことで、持続可能な農業に貢献していく考えだ。
手引きの主な内容
「農作業事故体験VRを活用した学習プログラムの手引き」は、①はじめに、②基本編、③発展編で構成されている。
「はじめに」では、農作業事故の実態や農作業事故の減少に向けた取組の重要性について解説している。また、本学習プログラムのカリキュラム全体像を示し、本マニュアルの使用方法等について説明している。
「基本編(講義・VR体験について)」では、農作業事故の講義に関する事前準備の方法や当日の進行等について、「学習動画を活用する」、「情報を収集して資料を作成する」、「(農作業安全に知見のある)講師に依頼する」の3つのパターン別に解説している。
また、VR動画の内容やVR機器の機能を紹介し、研修会での具体的な活用方法やVR体験により受講者が得られる学習効果等について解説している。
「発展編(グループ討議・対話型農作業安全研修ツール・研修事例について)」では、農作業安全研修の効果をさらに向上させるため、VR体験前後に実施するグループ討議の進め方や講師の役割について解説している。さらに、対話型農作業安全研修ツールや研修事例を紹介している。