障害者や難病患者の95団体が加盟する「DPI日本会議」は12日、車いすのまま乗り降りができるユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)に関する調査結果を公表した。それによると、ユーザーの3割近くが乗車拒否を経験している。同団体は、調査結果を踏まえて国土交通省や業界団体、メーカーなどに改善を求めていく考えだ。
調査は今年の10月30日に、全国21都道府県でのべ120人の車いすユーザーがUDタクシーに乗車する形で実施。車いすの種類では、通常タイプと電動タイプが47人ずつ、後輪をモーター内蔵の車輪に付け替えた簡易電動タイプが26人となっている。参加者は、「街中を走るタクシーを停めて乗車する」、「タクシー乗り場で乗車する」、「電話やアプリで配車予約する」の3パターンで利用実態を調べた。
それによると、120人のうち乗車拒否を受けたのは、全体の27%にあたる32人。種類別では通常タイプが59%、電動タイプが25%、簡易電動タイプが16%だった。パターンごとの乗車拒否の割合は、流しが20%、乗り場が24%、予約が29%にのぼった。地域でみると、東京都(21%)よりもそれ以外(29%)の割合が高い。乗車にかかった時間は平均で11.2分。降りるのは平均5.1分となっている。
タクシードライバーをみると、車いすの研修を実車で受けたことがあると答えた割合は85.5%と高かった。ただし、実車以外で受けたという回答が10.5%、何も受けていないという答えも2.6%ある。車いすのまま乗せた経験に関しては、未経験が52%だった一方で、5回以上乗せたことがある人も21%にのぼった。乗り降りの仕方については、「よく知っていた」が60%、「少し知っていた」が29%、「知らなかった」が11%という結果になっている。
国は東京五輪・パラリンピックを見据え、UDタクシーを導入する事業者に対して、1台あたりの費用を最高60万円まで補助。2020年度までに、約4万4000台普及させることを目標に据えた。さらに、車いすユーザーが乗車拒否を受けないよう、今年度分からは申請の要件にドライバーへの実車研修を加えている。
今回の結果を受け、DPIの佐藤聡事務局長は、「一部で改善が見られるものの、いまだに不適切な運用をしている事業者が多数ある」と指摘。「車いす利用者の乗車拒否は道路運送法に違反する。UDタクシー関係者への研修充実を図り、さらなる改善を目指すべきだ」と訴えた。