再生可能エネルギーのコストを電気利用者から集める「発電促進賦課金」。再生可能エネ発電力が増えるに伴い、電気利用者の負担が増えることになる。日本財団が17歳から19歳の若者に対して行った意識調査によると、「負担が増加するのであれば、再エネ発電量を増やすべきでない」との回答が、「負担が増加しても、発電量を増やすべき」との回答を上回ったことが明らかとなった。カーボンニュートラル実現のために原子力発電比率を2割程度とすることに関しては、6割が賛成した。
全体では、5割以上がわが国のエネルギー政策に「関心がある」と回答。男女別では男性が助成よりも「非常に関心がある」と答えた人の割合が11.9ポイント多かった。
石油や天然ガス、石炭、原子力、太陽光、風力などのエネルギーのもともとの形態を指す「一次エネルギー」。わが国の一次エネ自給率は12%程度(2019年)と先進諸国のなかで最も低い状況。こうした状況について尋ねたところ、全体では約7割が「知っていた」と回答し、男女別では女性が男性よりも「知らなかった」と回答した人の割合が9.9ポイント多いことが判明した。
わが国が2050年までにカーボンニュートラル(CN)を達成することを目標としていることに関しては、約3割が「知っていた」と答えた。「知っていた」と男性が約4割、女性は約2割が回答した一方、男性の37.7%、女性の56.1%は「カーボンニュートラルという言葉の意味を知らなかった」とした。ちなみに、カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質〝ゼロ〟にするもの。
原発「完全に止めろ」は15%
昨秋政府が示した第6次エネルギー基本計画では、2050年のCN実現を目指す際に、2030年の電源構成での原子力発電比率を20~22%とすることを目標としている。
わが国が2050年のCNの実現に向けて、電源構成での原子力発電比率を今よりも高めることに対しては、全体では約6割が賛成。他方、15.1%は「原子力発電は完全にやめるべき」と答えた。原子力発電賛成者は、女性を男性が11.7ポイント上回った。
また、原子力発電にネガティブな意見を表明した回答者に、原子力発電を減らす分に、どのエネルギーで補うべきか聞いた。その結果、約6割が再生可能エネルギーとし、この回答は男女とも同じ傾向がみられた。さらに、具体的な再エネの種類としては、男女とも太陽光、水力、地熱の順に挙げた。
原子力発電比率を今よりも高めるべきとの回答者に対しては、原子力発電を増やす分、減らすことが望ましいと思うエネルギーを調査。全体では石油、石炭、再エネの順に回答者が多く、性別では男性は石油、石炭、再エネ、女性は石炭が最も多く、石油と再エネが同じ割合で続いた。
再エネ賦課金、7割が「知らなかった」
調査では電気料金に関しても若者の意識を調べた。電気料金は燃料価格や再エネのコストに影響されるが、再エネのコストを電気の利用者から集める「再エネ発電促進賦課金制度」について、全体では「知らなかった」が約7割を占めた。性別では女性が男性よりも「知らなかった」と回答した人の割合が14.6ポイント多い。
再エネの発電量が増えるに伴い、賦課金も増加することが考えられるが、自身の負担が増えるのであれば、再エネ導入を「増やすべきではない」との回答が、「増やすべき」を上回った。