豊川閣妙厳寺豊川稲荷(愛知県豊川市)、山口化成工業(株)(愛知県豊川市)と豊橋技術科学大学は、豊川稲荷で年末の迎春準備の恒例行事としてつくられる「大鏡餅」の軽量版を作製した。作製した「軽量版大鏡餅」は、年末(12月28日午後)から鏡開き(1月11日)まで本殿に飾られ、参拝の際に見ることができる。
豊川稲荷内のしめ縄につける紙垂(しで)を製作している「有限会社祝飾りの滝崎」から豊橋技科大の寺嶋学長に、『豊川稲荷の「大鏡餅」をプラスチックなどの加工品で作製し、その中に個包装の小型のお餅を入れて、みんなに配ることはできないか』との相談があった。
その後、電気・電子情報工学系の滝川浩史教授、研究推進アドミニストレーションセンター(RAC)の川合悦藏特任教授及び担当URAらが連携して取り組んだ。
「大鏡餅」づくりは毎年、寺の職員など約45人が参加し、大小10種類以上、約1000個つくられ、大きなものでは、直径100センチ、重さ100キロになる。「大鏡餅」は、お正月にかけて本殿に飾られ、1月下旬には、一口サイズの「のし餅」にして、市内の養護施設などに配布されていたが、新型コロナの影響で「のし餅」の配布が難しくなった。
また、カビが生えて配布できない場合もあり、SDGsの観点から改善が必要になっていた。加えて、近年の職人の高齢化、もち米の不作等の事情からも対策・改善が必要な重要課題になっている。
滝川教授らは当初、樹脂製のレプリカを3Dプリンタで製作することを検討しましたが、サイズが大きいことや、コスト・製作時間などから、実用的な作製が難しいことが明らかになった。そこで、発泡スチロール成型や発泡ポリウレタンの成型加工を手掛ける山口化成工業(株)に相談して協力を得て、同社の技術及び豊川稲荷の工夫を組合せ、見事な質感を備えた軽量大鏡餅を完成させた。この軽量鏡餅については、共同で特許出願をした。
豊川稲荷では、より長持ちして再利用できるものにするための検討を継続する予定。豊橋技大としても引き続き協力する意向だ。