2017年10月5日 講義型と協働型でやる気アップ 岡山大講師らが効果的なプログラミング教育解明

岡山大学講師らの研究グループは、プログラミング教育を行うにあたり、やる気が高まる方法を解明した。講師が一緒になって一つひとつ教えるプログラミングを行う「講義型」と、友人と一緒にテキストをみながら学習する「協同型」がやる気を向上させる上で効果的だという。

2020年から始まる小学校のプログラミング必修化を控え、プログラミング教育の充実の重要性が指摘されており、プログラミングに興味関心を持ってもらうためのさまざまな取り組みが行われ始めた。

プログラミングの習得には継続的な学習が必要で、継続を支えるモチベーションが不可欠。特に、プログラミングに初めて出会った時にプログラミングを面白いと思えるかどうかは、プログラミング学習の今後の継続に重要な影響を与えることが予想される。

しかし、どのような出会い方が子どものプログラミング学習の興味関心を高めることができるのか、明らかになっていなかった。

こうしたことを踏まえ、岡山大大学院教育学研究科の岡崎善弘講師とロジックラボ for kidsの大角茂之氏、駒沢女子大学の倉住友恵非常勤講師、岡山大の三島知剛講師、青山学院大学の阿部和広非常勤講師の共同研究グループは調査研究を実施。プログラミングを初めて体験する方法がやる気(成功期待・課題価値)にどのように影響するのか調べた。

 

講義型・協同型・個別型の3タイプで効果比較

研究グループは、62人の小学生を対象にした調査で、①ワークショップを受ける講義型、②友だちと2人でテキストを見ながらプログラミングをする協同型、③1人でテキストを見ながらプログラミングをする個別型―の3タイプで効果を比較した。講義型は典型的なワークショップを想定し、協同型と個別型はプログラミングを自宅で学習する場面を想定。プログラミングのワークショップは大都会では多数開催されているが、中都市・小都市ではまだ少なく、プログラミングに触れることができる機会はまだ多くない。しかし、プログラミングを学ばせたい保護者が増えているため、自宅で実施可能な方法として設定した。

各タイプ(講義型、協同型、個別型)に、それぞれ約20人の子ども(プログラミング未経験)が参加した。シューティングゲームのプログラミングを約80分学習し、参加前と参加後に調査。〝プログラミングは自分にもできそうだという期待の程度〟である『成功期待』と、〝プログラミングに取り組むことの価値認識の程度〟である課題価値の観点から調べた。

各タイプの効果を比較した結果、成功期待ではいずれのタイプも効果を認めることができたが、課題価値では効果を認めることができたのは、講義型と協同型の2タイプだけだった。

 

書籍買い与えるだけでは不十分

子ども向けのプログラミングの書籍も増えており、子どもに買い与えるケースもある。しかし、この研究成果は、書籍を買い与えて子どもにプログラミング学習をさせてもやる気が高まらないため、継続しないことを示唆している。プログラミングは分からないからといって、書籍を買い与えるだけでは不十分といえ、ワークショップに参加できない場合、協同型のように、誰かと一緒にプログラミングを学習することが有効と考えられる。

例えば、友達と一緒にプログラミングする、保護者も一緒に子どもとプログラミングをしてみるなど。プログラミングを行った結果を他者と共有することがプログラミング学習を継続したくなる意欲につながることが研究から示唆された。

この研究成果は、日本教育工学会の学術雑誌「日本教育 工学会論文誌」にこの夏掲載された。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.