2020年9月10日 誹謗中傷、若者の5%が「経験あり」 日本財団調査 SNS法整備は75%が「必要」

Web上でさまざまな人とコミュニケーションができるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)。多くの意見や情報を知ることができるが、テレビ番組出演者がSNS上での誹謗中傷を苦に自殺に追い込まれるという痛ましい事件が起きるなど、光と影の両面を併せ持つ。日本財団が17歳から19歳の若者を対象に行った調査によると、約5%がSNS上で悪口を書いたことがあることが明らかとなった。相手の嫌悪感とともに、感情に任せて深く考えずに発信してしまったという。SNSの法整備に関しては75%が必要との見方を示した。

 

7割以上が「SNSは生活に不可欠」

SNSを普段利用しているのは全体の91.6%で、過去に利用していた2.4%も含め、94.0%が利用経験がある。使用経験のあるSNSは「LINE」が最も多く97.8%。次いで「ツイッター」が81.8%、「ユーチューブ」74.8%、「インスタグラム」が69.4%と続く。このほか「ティックトック」が28.3%、「フェイスブック」は15.0%だった。

SNSの使用用途を聞いたところ、最も多かったのは「情報収集」(80.4%)で、次いで「友人とのやり取り」75.5%、「学校や仕事などの連絡」69.0%での使用が多かった。「ゲーム」は29.0%となった。

SNS使用時間は、「1~2時間未満」(23.4%)が最も多い。「2~3時間未満」(22.8%)、「1時間未満」(16.9%)と続く。過半数が3時間未満となった。

SNS使用経験者の75.2%が「SNSは生活に不可欠」と回答。また、44.1%が「依存している」と答えた。アカウントに本名や顔写真を載せている人は4割弱だった。

 

「誹謗中傷受けた経験あり」12%

調査では、SNSを通した誹謗中傷の被害に有無に関しても聞いた。全体の12.0%がSNSを通して誹謗中傷を受けたことがある。原因としては、約3割が「わからない」「知らない」とし、心当たりがないのに被害に遭ったと回答。また、SNS上で「賛否両論の意見を公の場で言ってしまったから」「少し言い過ぎた」「相手をブロックしたこと」など、本人の発信内容が発端で誹謗中傷が始まった経験もあげられた。

「いじめられていて、SNS上でも学校の同級生たちにアカウントを特定されて暴言を吐かれた」「学校の同級生で、あまりよく思われていなかったから」といった学校でのいじめや人間関係がSNS上での誹謗中傷に繋がった経験や、「嫉妬」「相手の勘違い」「友達との喧嘩」なども原因としてあがった。

また、SNS使用経験者のうち5.2%が、SNS上で根拠の希薄な批判や悪口を書いたことがあると告白した。「腹立たしいから」「気に食わなかった」という相手への嫌悪感や、「共感してもらうため」「反応が欲しかった」など注目を浴びたいという気持ち、さらに「深く考えていなかったから」「咄嗟に思ったから」といった感情に任せて深く考えずに発信してしまったことなどが理由。

誹謗中傷発言をシェア・リツートした経験に関しては、5.1%が「ある」と答えた。「その時は本当だと思った」「後で真偽が不明だと気付いた」「誤ったソースが元の記事であることに気づけなかった」など真実と思いシェアしてしまったという確認不足や誤認が理由。また、発言に対しての共感、反対に「発言内容を批判するため」「誹謗中傷はよくないと思ってリツイートした」とSNS上の意見に反論する目的などを理由とする若者もいた。

 

誹謗中傷発信者への厳罰化求める

リアリティーショー出演者が誹謗中傷を苦に自ら命を絶つという痛ましい事件が起きたなか、SNSの法整備が検討されているが、若者の75.5%が法整備は「必要」と回答した。理由としては「風評被害や誹謗中傷を受けた人を守るため」「誹謗中傷にあたる表現が多いから」「違法投稿を規制する必要がある」「厳罰化が誹謗中傷発言を抑止する」などが多かった。一方、法整備の必要はないとの回答者にも理由を聞いたところ、「個人の自覚の問題」「あくまで表現の自由を優先すべき」「国に情報統制される恐れがある」といった意見が聞かれた。

さらに、法整備に向けて盛り込むべき点としては「誹謗中傷の発信者への厳罰化」が最も多く59.2%。以下、「発信者の情報開示手続きの迅速化」(52.2%)、「違法投稿の定義の明確化」(38.1%)などが続く。


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