自民党の政治資金規正法違反問題を受け、日本財団が18歳前後の若者を対象に行った意識調査によると、男性の7割、女性の8割が「説明責任を果たしていない」と、対応に厳しい眼を向けていることが明らかとなった。
この調査は、「コロナ対応」や「憲法改正」など、その時々に注目されているトピックに対して、若者の意見を聞くもの。63回目となる今回のテーマは『政治とカネ』。
直近の選挙での投票有無を聞いたところ、男女とも選挙があった人の5割弱が、期日前投票も含めて「投票に行った」と回答。「投票に行きたかったが、実際には事情により行かなかった・行けなかった」と答えた若者も、2割弱存在した。
また、今のわが国の政治に対する印象を聞いたところ、「民意をよく反映している」「必要な判断が適時できている」「クリーンである」のいずれについて、全体では「そう思わない」との回答が8~9割を占めた。
わが国国会議員の印象に関するアンケートでは、政治資金の集め方や使い方について、国会議員が説明責任を果たしているとは思わないという回答が、いずれも8割。国会議員が特権や待遇を多く受けていると思う人は全体の7割にのぼった。
現在、多くの国民から厳しい眼を向けられている政治資金問題に関しても、考え方を尋ねた。今年1月中旬、複数の政党派閥で政治資金パーティの収入を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、関係者が政治資金規正法違反の罪で起訴などをされている。
政治資金問題に関して、男性は「具体的な内容は知らないが、言葉としては聞いたことがある」(回答率38.4%)が最も多いものの、「具体的な内容を含め、知っていた」も35.4%と、僅差で続いた。
女性は「具体的な内容は知らないが、言葉としては聞いたことがある」が約5割。「具体的な内容を含め、知っている」(25.9%)、「知らなかった」(22.8%)を大きく引き離した。
政治資金問題への説明責任に関する若者の意識を聞いた。具体的な内容まで知っていた回答者のうち、関係する国会議員が国民への「説明責任を果たしていない」と回答した人は、男性は約7割、女性は約8割を占めた。
「政治のほうが若者離れ」
政治不信が高まるなか、調査では、投票機会での参加有無を確認した。今後、投票機会があった場合、男女とも約6割が「投票に行く」と回答。さらに、「投票に行く」との回答者のうち、男女とも約半数が「政治資金問題と関係なく投票するつもりだから」と答えた。一方で、「政治資金問題のあった候補者・政党に不支持の意思を示したいから」との回答は、男性で約3割、女性は約2割となった。
投票に行かない理由としては、男性は、「政治資金問題で政治全体が信頼できなくなったから/興味がなくなったから」が、「政治資金問題と関係なく投票するつもりがないから」が、同率で1位。回答率は26.1%。
女性は「政治資金問題と関係なく投票するつもりがない」が、「支持していた候補者・政党に政治資金問題があったから/それ以外に投票したい先がないから」(15.6%)、「政治資金問題で政治全体が信頼できなくなったから/興味がなくなった」(29.7%)に大きく差をつけ、40.6%もの回答を得た。
また、現在の政治に対する考えを聞いたところ、男性は「政治資金問題以外のテーマに取り組むべき」が、「政治資金問題についてさらに追及すべき」を上回ったが、女性は逆の結果となった。さらに、〝離れていっているのは、若者か、政治か〟という問いに対しては、男女とも4割以上から「政治の若者離れが進んでいる」との声が寄せられた。