認知症が原因で行方不明になる高齢者の増加が続いている。昨年1年間で1万9039人。前年より330人増えて過去最多を更新した。
警察庁が4日に発表した。過去最多の更新は11年連続。本人の親族や介護関係者なども支援に努めているが、認知症の高齢者の増加を背景に右肩上がりで推移している。
男女別では男性が1万597人(55.7%)、女性が8442人(44.3%)と、男性の割合が高い傾向が続いている。
行方不明になったとして警察に届け出があった1万9039人のうち、およそ95%は昨年のうちに所在が判明している。一方、500人超は遺体で見つかった。また、およそ250人は昨年のうちに発見に至らなかったという。
■GPS機器の活用を呼びかけ
調査結果を受け、松村祥史国家公安委員長は4日の記者会見で「GPS機器を活用した捜索を行い、行方不明者の早期発見につながった事例もある。今後も増加が見込まれる認知症による行方不明者の発見活動については、このGPS機器が有用だと考えている。自治体などで貸し出しを実施しているところもあるので、認知症の方の御家族には、これらをぜひ活用してほしい」と発言。そのうえで、「今後とも、地域における認知症高齢者の見守りネットワークを効果的に活用するなど、関係機関・関係団体と緊密に連携して、行方不明者の発見・保護活動が迅速かつ適切に行われるよう、警察を指導していきたい」と述べている。