高齢者など補聴器の使用を考えている人やその周囲の支援者らに対し、消費者庁が改めて注意を喚起している。
専門家の意見を事前にしっかりと聞いておくこと、クーリング・オフなどの制度の理解を深めておくことが特に大事だという。再確認すべきポイントを整理した。
補聴器の購入を検討している場合、何よりもまず専門医に相談しなければいけない。例えば、本来なら耳の炎症の治療を速やかに行うべきケースであっても、必要のない補聴器を買ってしまう可能性がある。
補聴器は調整(フィッティング)が重要だ。「認定補聴器技能者」などが働く専門店を訪ね、必ず本人の「聞こえ」の状態に合ったものを使わないといけない。過剰な音量の製品を誤って採用したりすると、かえって症状の悪化を招く懸念がある。「聞こえ」の状態には変化が生じるため、導入後も必要に応じて専門医などに診てもらった方がいい。
消費者庁は今回、「契約を締結する前の心構え」も改めて周知している。
ここでは、補聴器を店舗で購入した場合や通信販売で手に入れた場合について、どれだけ高額であっても基本的にクーリング・オフは適用されない(※)と説明。また、難聴などの影響で本人1人では支障が生じるリスクが高いとして、契約の際は周囲の支援者らのサポートが要ると呼びかけている。
※ 訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入については、法定の申込書面、または契約書面を受け取ってから一定期間内であればクーリング・オフができる。
厚生労働省によると、補聴器が必要となる難聴には「伝音難聴」、「感音難聴」、「混合性難聴」がある。「伝音難聴」は外耳や中耳の損傷、炎症によって引き起こされ、「感音難聴」は内耳、聴神経、脳などの感音系の障害が原因になるという。「混合性難聴」は中耳炎の悪化などに起因して生じる。
「伝音難聴」は音量が大きければ聞き取りやすいため、補聴器の使用が効果的だ。「感音難聴」や「混合性難聴」の場合でも、最適な補聴器を適切にフィッティングして使えば効果が期待できるとされている。