2016年7月27日 蜜蜂被害事例調査結果を公表 被害軽減に向けた今後の取り組み

農林水産省は、平成25年度から平成27年度にかけて実施した「蜜蜂被害事例調査」の結果と、被害の軽減に向けた今後の取り組みを公表した。

それによると、報告された被害事例の数は、平成25年度が69件、平成26年度が79件、平成27年度が50件となった。また、被害の発生は、水稲のカメムシを防除する時期に多く、巣箱の前から採取した死虫からは各種の殺虫剤が検出されたが、それらの多くは水稲のカメムシ防除に使用可能なものだった。

こうした結果から、分析を行った死虫の発生は、水稲のカメムシ防除に使用された殺虫剤に、蜜蜂が直接暴露したことが原因である可能性が高いと考えられる。検出された各種の殺虫剤の被害への影響の程度は特定できなかった。

また、調査では被害件数が減少した都道府県に対する聞き取り等が行われたが、▽農薬使用者と養蜂家の間の情報共有 ▽巣箱の設置場所の工夫・退避 ▽農薬の使用の工夫 ― といった対策が有効であることが分かった。こうした対策の実施によって農薬による蜜蜂の被害は減少したが、北海道については被害が減少しなかった。

農林水産省では、この調査結果を踏まえ、都道府県による対策の継続的な実施を促進していくほか、水稲のカメムシを防除する時期(7月~9月頃)に注意喚起のため都道府県に対し通知を発出していくとしている。また、北海道では、農薬散布回数の削減や、巣箱を退避させることが可能な場所の確保の検討等の対策が推進される。

このほか、対策の有効性を検証するため、毎年都道府県ごとに被害件数の把握等を行っていくほか、引き続き国内外の知見の収集や、効果的な被害軽減対策を確立するために必要な調査研究を行っていくとしている。

 

 

被害の軽減に有効な3つの対策

①農薬使用者と養蜂家の間の情報共有

・養蜂家は、巣箱の設置場所等の情報を農薬の使用者と共有する

・農薬の使用者は、農薬を散布する場合は、事前に散布場所周辺の養蜂家に対し、その旨を連絡する 等

・情報共有の実施が進んでいる

②巣箱の設置場所の工夫・退避

・養蜂家は、周辺を水田に囲まれた場所にできるだけ巣箱を設置しない

・養蜂家は、農薬の使用者から連絡を受けた場合、巣箱を別の場所に退避させる 等

③農薬の使用の工夫

・蜜蜂の活動が盛んな時間帯の農薬散布を避ける

・蜜蜂が暴露しにくい形態の農薬(粒剤等)を施用する 等


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