UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)は4日、高齢者への虐待に関するアンケートの結果を公表した。それによると、約半数の介護職員が「業務の負担が多いこと」を発生の原因と捉えている。
この調査は、今年の6月~7月にかけてインターネットで行われたもの。NCCUの組合員348人から有効な回答を得たという。答えた人の75%は女性。
高齢者への虐待について、考えられる原因を3つまで選択してもらった項目をみると、最も多いのは54.3%の「業務の負担が多い」だった。以下、48.9%の「仕事上のストレス」、42.8%の「人材不足」が続いている。「職業倫理や介護理念の薄れ」は35.3%、「知識不足」は29.6%、「管理職のマネジメント不足」は8.6%にとどまっていた。
自由記述の欄では、
「虐待の1番の要因は人材不足と過密労働。大幅な改善は難しい」
「介護職員の十分な人材の確保、質の高い職員の育成勤務環境が改善されないとなくならない」
「家族の虐待も多い。また、介護職員が利用者やその家族から暴力・暴言を受け、心を病むケースも多い。要介護者だけでなく、双方を守る規則が必要だ」
「認知症の人などへの効果的な対処法の研修等が必要。講習では一般論や正論を教わるが、現実ではそういかないことも多い。このギャップを埋めてほしい」
「報道される事件は氷山の一角。結局は職員の感受性による所が大きいものの、職業倫理を浸透させるような時間や余裕はない」
といった意見がみられた。
NCCUは今回の結果について、「虐待を無関係と思うのではなく、自分とすぐ隣り合わせにある問題として捉えている、介護職員の強い問題意識がうかがえる」と話している。