内閣府がまとめた「生物多様性に関する世論調査」の結果によると、自然に対する関心度について、「関心がある」と回答した者の割合(「非常に関心がある」と「ある程度関心がある」の合計)は75.3%と全体の4分の3を占め、「関心がない」と回答した者の割合(「あまり関心がない」と「まったく関心がない」の合計)は23.4%となっている。
調査は、全国の18歳以上の日本国籍を有する者3000人を対象としたもので、有効回収数は1557人(有効回収率51.9%)であった。
自然の働きに関する認識については、CO2や大気汚染物質の吸収など大気や気候を調整する働きが66.9%、水資源の供給・水質浄化の働きが60.8%、動物・植物など生物の生息・生育地としての働きが47.3%と上位を占めた。
地球上には何百万種類もの生物が存在し、これらの生物が、例えば食べる・食べられるなど、お互いを利用し、支えあうといった繋がりの中で生きていることを「生物多様性」と呼ぶが、この言葉の意味を知っていた者の割合は29.4%、意味は知らないが、言葉は聞いたことがあった者の割合は43.2%であった。それに対し、聞いたこともなかった者の割合は26.5%となっている。
生物多様性の危機を招く要因について、どのようなことに関心があるか聞いたところ、地球温暖化・気候変動による生物の生息・生育地の減少や消失が73.2%、開発による野生生物の生息・生育地の破壊が60.8%、その土地に生息・生育していた生物が、本来その土地にいなかったが人間の活動によって持ち込まれた生物に食べられたり、生息・生育地を奪われたりすることにより減少することが49.1%、野外に放出された化学物質や廃棄物などによる野生生物への悪影響が45.8%、里山など、人との関わりによって成り立っていた身近な自然の放棄による荒廃が41.7%、行き過ぎた捕獲や採取による野生生物の減少が41.6%となっている。
生物多様性保全活動への取組状況についてみたところ、生産や流通で使用するエネルギーを抑えるため、地元で採れた旬の食材を味わうが33.7%、エコラベルなどが付いた環境に優しい商品を選んで買うが26.8%ある一方で、取り組みたい行動はあるが、行動に移せてはいないという回答も33.7%あった。
生物多様性保全活動を制限する要因については、体力や時間がないことが51.2%、何をしたらよいのか、よくわからないことが50・7%、費用がかかることが26.3%となっている。
2021年6月に日本も参加した主要7か国首脳会議で、生物多様性の損失を食い止め、2030年までに世界の陸と海の30%を保全・保護することが約束されたことについて、保全・保護活動を実施しているエリアで収穫された農作物などを購入したいが48.0%、保全・保護に熱心な企業の製品やサービスを積極的に購入・利用したいが47.2%、ふるさと納税で貢献したいが20.7%あった。その一方で、特に貢献したいと思わないとする回答が12.3%あった。