総務省の「自動運転時代の〝次世代のITS通信〟研究会」(座長:森川博之東京大学大学院工学系研究科教授)は6月30日、これまでの検討内容の中間とりまとめ(案)を公表した。中間報告では、〝次世代のITS通信〟の活用を想定するケースについて、導入期は交通弱者の保護を含む安全・安心や交通流円滑化等の協調型自動運転以外のユースケースに取り組むことを提言している。
自動運転時代に向けて、情報通信技術を活用した高度道路交通システム(Intelligent Transport System:ITS)、特に、車と車、車とインフラなど車と様々なモノとの通信(Vehicle to everything:V2X通信)への期待が高まってきており、世界的にも、欧州・米国を中心として、Ⅴ2Ⅹ通信の実利用に向けた検討が活発に進められている状況にある。
我が国においても、Ⅴ2Ⅹ通信については、国際電気通信連合(ITU)における国際的な議論などを踏まえ、周波数再編アクションプラン(令和4年度版)において、既存のITS用周波数帯(760㎒帯等)に加えて、5.9㎓帯の周波数の具体的な利用方策等について検討を行うこととしている。
〝次世代のITS通信〟の活用を想定するユースケースについて、2040年頃の自動運転車の合流支援などの実現には、車載器の普及が不可欠であることを念頭に置き、導入期は協調型自動運転以外のユースケース(交通弱者の保護を含む安全・安心や交通流円滑化など)、普及期は協調型自動運転も含めたユースケース(これに加え、路車間・車車間通信による調停・ネゴシエーションを用いた合流支援など)に取り組むべきであり、その検討に当たっては、既存ITS無線との連携やインフラ整備なども深堀が必要とした。
また、車載器の普及や将来に渡って長く使うためには、発展性や拡張性も重要であり、安全・安心を最優先としつつ新たなユースケースの出現にも柔軟に対応できる工夫(OTA技術など)が必要としている。
Ⅴ2Ⅹ通信とⅤ2N通信との連携方策などについては、V2X通信、V2N通信の特徴を踏まえ、相互補完しながら活用することが重要であり、商用車(サービスカー)/自家用車(オーナーカー)それぞれについて連携・役割分担を検討すべきであり、自動運転/通信技術の進展を踏まえ、将来的にはQoSを考慮したネットワークアーキテクチャの検討なども必要とした。
5.9㎓帯Ⅴ2Ⅹ通信向け割当方針、導入ロードマップの検討の方向性については、諸外国との周波数調和、既存無線局との干渉などを考慮し、5.9㎓帯V2X通信向けの割当方針として、まずは5.9㎓帯の上半分(5895~5925㎒の30㎒幅)を検討することを提言。
導入ロードマップについては、「協調型自動運転方式ロードマップ」で掲げられた目標(2030年頃の5.9㎓帯V2X通信機器の導入)に向け、実証・検証するユースケースや環境整備(移行促進策など)と併せて具体化することとしている。