内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局は、自動運転の実用化、普及拡大の取り組みの一環として、今年11月2日から来年1月末まで実施する東京臨海部副都心地域を再現したシミュレーションモデルの使用体験の参加メーカーなどを募集している。
内閣府では、安全で円滑な自動運転の実現に向け、さまざまな交通環境下での安全評価を検証するため、走行環境や電波伝搬、センサーの性能など実現象と一致性の高いシミュレーションモデルを特徴とする仮想空間における検証プラットフォームの構築に取り組んでいる。
自動運転を実用化し普及拡大していくことにより、交通事故の低減、交通渋滞の削減、交通制約者のモビリティの確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善・コスト低減といった社会的課題の解決に貢献し、すべての人々が質の高い生活を送ることができる社会の実現を目指し、産学官共同で研究開発を推進している。
今年度は、東京臨海部実証実験のフィールドである臨海副都心地域を中心に、データベース構築に着手しており、年末から年明けにかけてリアル環境との一致性検証を行う。
検証を通じて、自動車メーカー、センサーメーカーをはじめ、さまざまなステークホルダーの意見を聴取する機会とする方針だ。
自動運転システムの開発・評価の有用性を確認
参加者は、検証プラットフォームプロトタイプ版モデルでのシミュレーション実行結果と関連する情報を体験し、自動運転システムの開発、評価における有用性を確認する。
特に、今回の実証実験においては、実測に基づく1)NCAP(新車アセスメントプログラム)環境、2)臨海副都心地域(お台場)の仮想環境でのシミュレーション群をシナリオパッケージとして用意。
参加者は、このパッケージの実行結果によって、運転環境や道路、地形、天候など実際の環境要因が組み合わされた、現実の世界で起こり得るセンサーにとっての弱点や限界を検証することができる。
この再現性に優れた仮想空間において、さまざまな条件設定ができることによる、安全性検証の作業効率化などを確認できる。
参加対象は、自動運転技術の研究開発を行う国内外の自動車メーカー、自動車部品メーカー、大学等の法人・研究機関。参加者募集は8月4日から実施しており、10月15日までNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)で受け付ける。
今後、社会実装が見込まれる自動運転の信頼性と安全性の検証は、実車による運転性 能の検証に依るところが大きい。
しかし、様々な交通環境下で再現性の高い安全性評価 を検証するためには、膨大なリソースが必要。 この背景を踏まえ、内閣府ではNEDOを中心に、リアルな環境における実験評価と代替可能な実現象と一致性の高いシミュレーションモデルを特徴とする仮想空間における検証プラットフォームの構築に取り組んでいる。