国立がん研究センターは26日、2014年にがんと診断された患者のデータを公表した。胃、大腸、乳房、肝臓、肺という従来の5大がんに加え、今回は新しく食道や子宮頚部、子宮内膜、膀胱、甲状腺、膵臓、前立腺の7部位について集計した。
調査は、全国421のがん診療連携拠点病院で登録された約67万件のデータを分析。5大がん以外の7部位については、データの精度を保つために、院内がん登録に関する規定の研修を受けた職員がいる323施設を集計対象とした。がんの進行度を表す「ステージ」や、その後の治療法についても調べている。がんのステージは0期から4期の5段階に分かれており、数字が大きいほど進行度が増していく。進行が進んだ患者は、取り除く手術が難しいため、抗がん剤による治療だけを行っている人が多い。
■ 発見の難しい「膵臓がん」 4割は転移後で初期はわずか
部位別でみると、膵臓がんは1万4482件中43.4%が、見つかった時点ですでに他の臓器に転移している4期(ステージⅣ)だった。主に初期と呼ばれる0期と1期の人の割合は、合わせて12.4%と他の部位に比べて低くなっている。膵臓がんは、臓器の位置からくる画像診断の難しさや自覚症状の少なさなどから、発見が難しいといわれている。5年生存率や10年生存率の低さから、早期発見に向けた検査方法の確立が急務とされており、現在は血液検査による診断方法が研究されている。
■ ほかの部位は初期の発見が多い
一方、子宮頚部と膀胱がんは0期、子宮内膜と前立腺、甲状腺がんは1期と、そのほかの部位は検診の広がりなどから初期に見つかる割合が多くなっていた。治療も抗がん剤のみではなく、内視鏡手術や放射線治療といった様々な治療法を組み合わせているケースが多い。ただし、食道がんについては、1期が34.1%と最も多かったものの、3期が24.4%、4期が14.4%と進行した状態の発見も少なくなかった。