2017年6月6日 終末期の患者への胃ろう、7割の医師「必要」 「ケースバイケース」が大半、メドピア調査

国内の医師約10万人以上が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」は23日、「治る見込みのない患者への永久胃ろうは必要な医療か?」という調査の結果を発表した。それによると、医師の68.9%は「一部の患者には必要」と回答。ただし、その大半が「ケースバイケースだと思う」と述べていた。

胃ろうは、病気やけがなどで口からの飲み食いが難しい人に対し、胃に穴をあけて水分や栄養剤を直接流し込む治療法。日本では、高齢化とともに導入率が増加しており、利用者の数は全国で40万人に上るともいわれている。一方で、「導入は患者本人の意思なのか」という疑問や医療・介護のコストを過度に圧迫しているのではないかといった面から安易な導入への批判も高まりつつある。

調査は、インターネットを通じて3月29日から4月4日にかけて実施。サイトに登録している4206人から有効な回答を得た。

全体の7割を占めた「一部の患者には必要」と答えた医師のコメントをみると、家族の意向や治療効果などをもとに導入に前向きな意見が多かった。具体的には、「栄養補給で、最後に有意義なQOLや、家族の満足感が確保できるなら、施行価値はあると思います」(40代、精神科)や、「胃ろうからの栄養で非常に元気になる患者がいることは確かです。全員にするべきとは思いませんが、効果のある患者がいることは確かと考えます」(60代、一般外科)といった声が寄せられた。さらに、「ごく一部には必要だと思いますが、多数の人にとって本人に苦痛を与える医療になりかねないと思います」(30代、一般内科)や「若い神経疾患とか、頚髄損傷の患者さんには必要だと思います。しかし、高齢で脳梗塞後、意識なしなど、胃瘻の意味が分からない人に造設することは、仮に家族の希望があったとしてもすべきではないと考えています」(30代、一般内科)など比較的否定的な意見もあった。

2番目に多かった「不必要だと思う」(18.1%)と回答した医師では、「治る見込みがなければ、もう胃ろうは作らないことにしました。長期間になると疲弊する家族が多いです」(50代、一般内科)や、という声の他、永久胃ろうによる医療費の増加について、「欧米のように、経口摂取できなくなったら寿命という考えにならないと医療費で国が終わってしまう。(50代、一般内科)や、「何故胃ろうがこれほど普及したのか理解に苦しみます。欧米では口から食べられなくなったら寿命と判断する国もあります。私自身も胃ろうや経管栄養をしてまで生き延びたくありません」(50代、老年内科)と疑問を投げかける声も多く見られた。

 

■ 全回答通じて「判断は難しい」

ただ、全回答を通じて「自身や家族の死生観の問題であるため、判断が難しい」という医師も多く存在。「わからない」(9.9%)と答えた医師では、「必要かどうかは個々人の考え方、価値観によると思います」(40代、精神科)や「患者と家族の希望にもよるが、簡単に結論は出せない」(60代、一般内科)といったコメントが、「必要だと思う」(3.1%)と答えた医師からは、「治る治らない、生きる生きないは医師が決めることではない」(40代、小児科)、「意識のない患者に関しては、介護する家族のことを第一に考えるべきと思います。(50代、脳神経外科)、「死んでもいい人を選別できない」(50代、リハビリテーション科)などの回答が寄せられた。


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