東北大学大学院医学系研究科の運動学分野門間陽樹講師らの研究グループは、コロナ禍で注目を集める筋トレについて、週30分から60分行うことで死亡や心血管疾患、がんなどのリスクを抑える効果があると発表した。逆に週130分から140分を超えるとリスクが高まるため、やりすぎはかえって健康に良くない可能性が示唆されるとしている。
研究チームは、18歳以上の成人を対象に筋トレと死亡や疾病の関連を長期的に調べた1252本の論文を精査した。その中から信頼性が高く分析可能な16本を抽出し、筋トレの有無や実施時間と、死亡・疾病リスクの関連を調べた。
その結果、筋トレを全くしていないグループと比べて、筋トレを行っているグループは死亡や心血管疾患、がん、糖尿病のリスクが10%から17%低いことが判明した。実施時間との関係をみると、死亡や心血管疾患、がんについては、週30分から60分行うことにより最大で約20%のリスク減少がみられることがわかった。
一方、週に130分から140分を超えてくると、筋トレの良い影響はなくなり、むしろリスクが高くなった。糖尿病だけは当てはまらず、筋トレ時間が長ければ長いほどリスクが低くなっている。
調査結果を受け研究チームは、「筋トレは長期的な健康効果がある一方でやりすぎるとかえって死亡や心血管疾患、がんに対する健康効果が得られなくなってしまう可能性を示唆している」と説明。「健康の維持増進を目的に筋トレの実施が国際的に推奨されているなか、本知見はその推奨を支持するとともに、我が国の身体活動ガイドラインにおいても新たに筋トレの実施を推奨する根拠となる重要なエビデンスの一つとなることが期待される」としている。