(公社)国土緑化推進機構はこのほど、第29回「みどりの文化賞」の受賞者を決定した。この表彰は、緑や森に関して顕著な功績のあった個人・団体を表彰するもの。今回は、東京農工大学名誉教授の木平 勇吉氏が受賞することとなった。表彰式は、5月11日にイイノホールで開催される第29回森と花の祭典「みどりの感謝祭」式典で行われた。
「みどりの文化賞」は、緑豊かな国土と新しい森林文化の創造に資する観点から創設されたもの。緑や森に関して顕著な功績のあった個人・団体を対象としている。
今回賞を受賞した木平氏の専門分野は「森林計画学」などだが、木平氏がカバーしている範囲は単なる一研究分野にとどまらず、流域管理や地域の合意形成、ニュージーランドの林業、リモートセンシングや森林GISなど多岐に及んでいる。さらに、木平氏の研究は、過去の研究者の業績をなぞりながら集約していくのではなく、常に新たな分野へと視点を向けており、挑戦的かつ創造的な業績を残している。これらの業績は、オリジナリティあふれる多くの著書によって世に広められ、森林科学全般の発展にも大きく寄与してきた。
また、木平氏の活躍は学術分野に留まらず、丹沢大山自然再生委員会の委員長を務め、市民や行政関係者とともに10年間にわたって丹沢地域のフィールド調査を実施し、大気汚染や林業の低迷などによって植生をはじめとして自然環境が変化していることを明らかにするなど、市民活動のレベルにも及んでいる。
さらに、樹木とのふれあいを通じて森林と環境と自然科学について学ぶ契機とするプログラム「子ども樹木博士」を1999年に立ち上げて運営してきたほか、「間伐・間伐材利用コンクール」の審査委員長を務めるなど、非常に幅広い分野での活動を行ってきている。
今回の表彰にあたっては、木平氏の幅広い領域において永年にわたってリーダとして活躍してきた業績が高く評価された。