国立社会保障・人口問題研究所は31日、2016年度の社会保障給付費が過去最高の116兆9027億円になったと発表した。前年度から1兆5020億円(1.3%)伸びたという。対GDP比は21.68%で前年度から0.06ポイント増加。1人あたりの社会保障給付費は92万1000円で、こちらも過去最高を更新している。
社会保障給付費は、年金、医療、介護など、税金や社会保険料を財源とする給付の合計。急速な高齢化を背景に膨張を続けている。
2016年度の社会保障給付費を制度ごとにみると、年金が54兆3770億円(構成比46.5%)、医療が38兆3965億円(同32.8%)。この2つで全体の8割近くを占めている。介護の9兆6045億円(同8.2%)を含む「福祉その他」は、24兆1291億円(同20.6%)。
前年度からの伸び率が最も高かったのは、4.2%の「福祉その他」だった。ただし、介護は2.1%とこれまでで最も低くなっている。健康な高齢者が増えて1人あたりの給付費の伸びが抑えられていること、2015年度の改定で報酬が引き下げられたことなどが要因とみられる。医療の伸びは0.6%と過去5番目に低かった。高額なC型肝炎治療薬「ハーボニー」の価格の引き下げなどが影響したと分析されている。
社会保障給付費に施設の整備費なども加えた「社会支出」をみると、2016年度の総額は119兆6384億円。前年度から1兆3604億円(1.2%)増加していた。対GDP比は22.19%。2015年度の諸外国のデータと比べると、日本はイギリス(22.65%)とほぼ同じ水準となっている。アメリカ(19.12%)よりは大きい一方で、フランス(32.12%)やドイツ(27.13%)、スウェーデン(26.75%)などの欧州諸国よりは小さくなっている。